エースコンバット11


今日は珍しく、格納庫が慌ただしかった
何か引き取る物があるらしく、その準備をしているらしい

「えらい人だな。一体何が来るんだ?」
整備兵を引き留め、サイファーが聞く
「もう必要なくなった兵器を引き取るそうです。
そのままにしておくと、残党に利用されかねないので」
危険ならスクラップにでもすればいいものだが、研究に使いたがっているのかもしれない
サイファーはあまり興味がなかったが、遠くから運ばれてくるものが目に入ったとき、思わず凝視していた

「来たようです、下がってください」
ヘリの音と共に、巨大な兵器が到着する
それは、サイファーにとっては懐かしいものだった


「・・・エクスキャリバー」
目の前に運ばれてきたのは、いつか対峙した兵器
分割されていたが、圧倒的な存在感はそのままだ
遠距離から放たれ、かすりでもすれば致命的なレーザー、数発のミサイルではびくともしない耐久力
本体の中にはひん曲がっているものがあり、それは自分が付けた傷だと思い出す
その相手が役目を失ったのだということを目の当たりにしたとき、サイファーは少し同情していた

「すごい大きさですよね、暫くは機体と一緒に置いておくそうです」
分割されているとはいえ、比較すると機体が小さく見える
置かれた場所は、よりにもよってノスフェラトゥの隣だった

「お騒がせしました。狭苦しくなるかもしれませんが、ご容赦下さい」
「あ、ああ、別に、俺は構わねーけど・・・」
離陸しにくくなることよりも、大いに気にかかることがあった




その日の夜、サイファーは格納庫を訪れていた
薄暗い中だが、機体の存在感がなくなっていることがわかる
加えて、なくなっているのは機体だけではなかった

『貴方、黒い機体のパイロットですね?』

聞きなれない声に、サイファーはさっと目を向ける
薄暗い中から現れたのは、背丈が高く、髪の長い女性だった
女性は髪をたなびかせ、近づいてくる

「・・・でっけー!」
サイファーは、ソーグと対峙したときと同じリアクションをした
女性とはいえ、サイファーの身長はゆうに超えている
ほっそりとした佇まいは、今日運ばれてきたエクスキャリバーを彷彿とさせた

『好きでこの背丈になったわけじゃありません。
相手を見下ろして話すのって、首が疲れるんですから』
頭上から、静かな声が落ちてくる
サイファーは、慣れないトーンの声に少し同様していた
基地内で接するのはほとんどが男で、異性と言えばアークバードぐらいとしか接点がない
大人の女性には全く抵抗がなく、ただ見上げているしかなかった


『ぼんやり海を眺める日々が続いていたのに
いきなり分割されて、狭い所へ押し込められて・・・って、聞いているんですか?』
「え、ま、まあ・・・」
サイファーは生返事しかできず、ただただ愚痴を聞いていた

『狭苦しくしたのは誰だと思っている』
別の人物の声に、エクスキャリバーが振り向く

『その装甲・・・ノスフェラトゥですね。ソーグとアークバードから貴方の容貌は聞いていました』
ノスフェラトゥは、鋭い目つきでエクスキャリバーを睨んでいる
自分の領域が侵されたことが気に食わないのだろう
二人はじっと対峙していたが、ふいにエクスキャリバーが口を開いた


『そうそう、これもアークバードから聞いたんですが、確か、パイロットとらぶらぶなんでしたっけ?』
「は!?」
エクスキャリバーはノスフェラトゥをからかったつもりだったが、驚いたのはそのパイロットのほうだった
サイファーの反応を見ると、エクスキャリバーは面白いものを見つけたようにかすかに笑った

『あ、本当なんですね。羨ましい限りですねー
こっちは貴方に折られた日から腰の痛みがひどくなったっていうのに』
「い、いや、あんときは敵だったわけだし、それ以前にそんなに良い関係じゃ・・・」
『折角こうして対面できたことですし、罪滅ぼしして下さい』
聞く耳持たず、エクスキャリバーは立て続けに言う

『貴様、どういうつもりだ』
『どういうつもりも何も、元はと言えば貴方のパイロットに折られたせいで私は廃棄されたんですよ。
少しくらい人と楽しませてもらったっていいじゃないですか』
「た、楽しい事?」
嫌な予感がして、エクスキャリバーを見上げる
その視線に気付いた相手は、サイファーに向かってにやりと笑った

『とにかく、ここじゃあ何ですからどこか空き部屋にでも連れていってもらえますか。さ、早く早く』
強制的に話を区切り、サイファーの腕をぐいぐいと引っ張る
「わ、わかった、わかったから引っ張んなって・・・」
細い指に腕を取られると、どぎまぎしてしまう
サイファーは背中に突き刺さるような視線から逃げるように、格納庫を出た




空き部屋はだれが来るかわからないので、結局自室に招いていた
部屋に入ると、エクスキャリバーは物珍しそうに周囲を見回した

『これが人の部屋ですか。おや、寝心地の良さそうなベッドが』
ベッドを見つけると、遠慮なくうつぶせに寝転がる
相手が何をしたいのかわからず、サイファーは呆けていた

『ほら、パイロットさん、さっき腰が痛いって言ったでしょ。マッサージして下さい』
「マッサージ?」
どうやら、楽しい事と言うのはとても健全なことらしかった
だが、サイファーはベッドの前で硬直していた
目の前に、スレンダーな女性が寝転がっている
揉めと言われても、躊躇わずにはいられない

いつまで経っても反応がないので、エクスキャリバーは一旦起き上がった
『もしかして、女性に触れることに抵抗があるんですか?』
「う・・・」
図星をつかれて、サイファーは押し黙る


『それじゃあ、これならいいでしょう』
ふいに、目が掌で覆われる
次に視界が開けた瞬間には、目の前の相手の姿は変わっていた
髪が短くなり、もう女性には見えない

『この通り、僕はどっちにでもなれますから。さ、これでいいでしょう』
少年の姿になったエクスキャリバーは、再びうつぶせになった

「・・・ま、いーか」
サイファーは、もはや、ちょっとやそっとのことでは驚かなくなっていた
とりあえず、寝転ぶ相手の上に乗り、適当に腰を押す
ツボなんてわからなかったが、硬い体を、力を込めて揉んだ

『お、結構力あるんですね。ノスフェラトゥに蹂躙されても、抵抗できるんじゃないですか』
「なっ、何言ってんだよ!?」
なぜここまで知っているのかと、サイファーは慌てる
狼狽した声から相手の様子を察したのか、エクスキャリバーは面白そうに笑った

『あははっ、やっぱりそういう関係なんですねー。ほらほら、手が止まってますよ』
どうやら、この相手はノスフェラトゥとは違う質の悪さがあるようだった
サイファーは否定することができず、溜息をつくと再び固い体を押し始めた


暫くすると、気持ちが良いのか、エクスキャリバーの目がまどろんでくる
『あー、気持ち良いもんですね・・・機体のままじゃ絶対に経験できませんし・・・
正直、ノスフェラトゥが羨ましいですよ』
「俺にとっちゃ、悩みの種だけどな」
サイファーは、自嘲するように苦笑いを浮かべる

『でも、こうして対峙できるのは、相手が機体のことを想っているからこそです・・・
貴方は、解体された僕に同情してくれたのかもしれないですけど』
エクスキャリバーは、まるで心を読んだかのように言う
同情心が、機体を擬人化したのだろうか
だが、アークバードやソーグ、タイフーンも人の姿に見えることが不思議だった

『はー、何にせよ、処分されるまでの間・・・お世話になります・・・ね・・・』
語尾は消え、代わりに静かな寝息が聞こえてくる

「お、おい、寝たのか?」
寝てます、と返事をするはずはなく、もう反応はなかった
「マジかよ・・・ま、こいつ細いし、大丈夫か」
寝床の半分はとられてしまったが、横になれない事はない
夜も遅かったので、サイファーはエクスキャリバーの隣に並んで眠りについた




朝になったら、エクスキャリバーはいなくなっていた
サイファーは、他に人型になれる機体が来たことで、ノスフェラトゥの鬱憤が少しでも解消されればいいと思っていたが
夜、その考えは間違っていたと痛感することになった


昨日は寝るのが遅くなってしまったので、サイファーは早めに寝ようとしていた
そのとき、荒々しく扉が開かれ、閉まる時も大きな音を立てた
思わず目を丸くして、扉の方を見る

「ノス?どうしたんだよ、とつぜ・・・」
ノスフェラトゥを見て、サイファーは言葉を止める
目つきが悪いのはいつものことだが、今日は一段と不機嫌だと感じた
ノスフェラトゥはサイファーの前まで来ると、腹立たしげに問うた

『昨日、エクスキャリバーと寝たのか』
「ん?あ、ああ、確かに寝てたな」
追い返す間もなく寝床を取られ、仕方がなかった
その答えを聞いたとたん、ノスフェラトゥはサイファーを壁に押し付けた

「っ、いきなり何すんだ!」
背中に鈍い痛みが走り、抗議する

『よくも平然と言えたものだな、お前も、所詮本能には勝てなかったということか』
「は?本能ってどういうことだよ、俺は昨日・・・」
『黙れ』
これ以上言葉を発させないよう、ノスフェラトゥはサイファーの口を塞いだ
噛みつくように覆われ、サイファーは一瞬目を見開く
そして、閉じる間もなかった隙間から、相手のものが入り込んできた

「ぅ・・・っ」
それは性急に、自分のものに絡みついてくる
相手を蹂躙する荒々しさしか感じられない口付けは、サイファーの呼気を乱していった

「は・・・っ、ぁ・・・」
音が漏れるほど激しい行為に、喉の奥から声が漏れる
壁に寄り掛かっていなければ、膝が崩れてしまうそうだ
そう思っていた矢先、一旦解放されたかと思うと、とたんに足をひっかけられた

「いっ!?」
踏ん張る事も出来ず、サイファーは尻餅をつく
ノスフェラトゥはサイファーの顎に手をかけ、冷たく言い放った


『覚悟しろ、今日は眠れないと思え』
「・・・っ、ふざけんな」
なぜ、急にそんな理不尽な事をされなければならないのかと、サイファーは相手を睨む
だが、ノスフェラトゥは威嚇に怯むことなく、サイファーの服を引きちぎるようにしてはだけさせた

『この体に刻みつけてやろう。お前は誰のものかということを』
冷たい手に肌をなぞられ、サイファーは身震いする
その手は、遠慮なく下腹部へ下りて行った

「お、おいっ!」
制止の言葉など聞く相手ではなく、冷たい感触が下肢に走る
その冷たさは、すぐに強い刺激へと変わった

「っ、あ・・・!」
思わず、声を発してしまう
その反応に、ノスフェラトゥはにやりと笑った
無理やり昂ぶらせるように自身へ触れられ、官能的な声を出してしまいそうになる
性急な行為に反感を持ったが、言葉を発すればとたんに上ずってしまいそうで、歯を噛みしめることしかできなかった


『相変わらず強情な奴だ。すぐに耐えられなくしてやるがな』
ノスフェラトゥは、ふいにサイファーの首元へ唇を寄せる
そして、血管に沿って首筋を弄った

「う、ぁ・・・っ」
下肢だけでなく、首にも感じた感触に、どうしても口を開いてしまう
もはや、感じる箇所が熟知されているのか、舌が這わされる度に肩が震えてしまっていた

『ククッ、そうだ、やはりお前はその顔を見せる側の方が似合っている』
「う・・・るせ・・・」
与えられる刺激の最中、反抗的な視線を向ける
それは、ノスフェラトゥを高揚させる要因にしかならなかった


『そんな目も、悦楽で侵してやろう・・・』
ノスフェラトゥは下肢に触れる手を動かし、指先でサイファーのものを愛撫する
相手が感じずにはいられないよう、その全体に触れていった

「い、っ・・・あ、ぁ・・・」
冷たい手が動かされる度に、全身が熱を持ち、悦に震える
少しでも刺激を受けると、どうしても反応してしまう箇所があって
どんなに反抗したくても、強制的に欲情させられてしまう
それが悔しくて、抵抗するようにノスフェラトゥの腕を掴んだ
だが、ろくに力が入らない状況で行為を止められるはずもなく
無駄な事だと思わせるように、ノスフェラトゥは先と同じようにサイファーの口を塞いだ

「っ・・・ぅ、あ・・・」
熱が上りきっている状態では口をつぐめず、口内をも犯されてゆく
呼気が混じり合う最中、自分でも吐息が熱くなっていることが感じられ、羞恥心は限界だった

相手に余裕を与えないような激しい行為に、口端から液が落ちる
同時に、粘液質な液体は愛撫されているものからも生じ、淫猥な感触を与えていた
重ねていた箇所が解放されたときには、それを衣服の中に留めておくことができず、外気にさらされていて
液の感触も相まって、滑らかな手つきで刺激され続けたものは、とうとう耐えきれなくなった

「ぁ・・・っ!う・・・ぁ、あ・・・!」
上ずった声が漏れ、全身が反応する
腕を掴む手に思わず力が入り、悦に耐えようとするが
一旦解かれたものは止めようもなく、白濁した液が溢れ出していた




ほとぼりが一旦収まった後、サイファーは肩で息をして、気を落ち着かせようとする
『今日はこれだけでは終わらせん、お前に俺の存在を刻みつけてやる。
昨日、お前が奴にしたようにな』
「何・・・わけ、わかんねーこと・・・」
ノスフェラトゥは、下肢の服を全て取り払おうと手をかける
サイファーは身の危険を感じ、はっとした

「刻みつけるって、お前・・・!」
まさか、まだ行為を進める気なのか
このままでは、なすがままにされてしまう
それ以前に、相手は大きな勘違いをしている
黙っていてはとんでもないことになると、サイファーは息も整わぬまま告げた


「俺・・・お前が思ってるようなこと、してねーよ!
昨日は・・・腰揉んでくれって言うから・・・それだけだ」
サイファーの言葉に、ノスフェラトゥは動きを止めた

「あいつ、男にも女にもなれて・・・それで、男の姿になったから、マッサージしてやっただけだ」
高揚した相手に、何を言っても無駄かもしれない
だが、それは真実かと問うように、視線が注がれている
サイファーは、ノスフェラトゥから一時も目を逸らさずに言った

「アイツにどんなこと言われたか知らねーけど・・・信じてくれ、ノス」
ノスフェラトゥは、黙ってサイファーを見据えていた
やがて、視線が逸らされ、体が離れた

『・・・気が萎えた』
それだけ言うと、ノスフェラトゥは部屋から出て行った
信じてくれたのかと安堵し、サイファーはその後ろ姿を見送った後、大きな溜息をついて脱力した




翌日、サイファーは眠気をこらえつつ格納庫を訪れていた
「エクスキャリバー、いるんだろ!」
格納庫に入ると、すぐに呼びかける
すると、呼ばれるとわかっていたかのように、少年の姿をした相手が目の前に現れた

『どうしたんですか、大きな声出して』
「お前、一昨日のこと、ノスにどんな説明したんだよ!?」
サイファーの様子を見て、エクスキャリバーはにやにやと笑った

『説明も何も、そのまま言っただけですよ?
貴方が上に乗って、気持ちの良い事をしてくれて、最後は添い寝までしてくれたって』
正しいことには正しかったが、表現に問題がありすぎた

「普通に、マッサージしてもらったって言えばいいだろ!?
昨日は、とんでもねーことになるとこだったんだからな!」
ノスフェラトゥの機嫌が悪かったのも、言葉の全てを性的なものと解釈したからだろう
その思考回路も問題だったが、そもそもの原因はエクスキャリバーのせいに違いなかった

『別にいいじゃないですか。貴方とノスフェラトゥはかなり親密なんでしょ?
僕は、背中を押してあげようとしただけですよ』
「んなこと、余計な『余計な御世話だ、エクスキャリバー』
サイファーの反論は、他の声によって代弁された
薄闇から、漆黒の機体が現れる
二人から視線を向けられると、エクスキャリバーはわずかに肩をすくめた

『やれやれ、余計でしたかすみませんでした。じゃ、僕はこれで失礼しますね』
全く誠意のこもっていない謝罪の後、エクスキャリバーは姿を消したかと思えばすぐに兵器へと戻っていた

「あー、全く、とんだ厄介者が来たもんだ・・・」
『大方、スクラップにされるまでの暇潰しだろうな』
スクラップ、という言葉を聞くと、厄介者とは言えやはり同情する
その運命を知っているから好き勝手にしているのかもしれないが、やはり質が悪かった

「そうだ、ノス、昨日は・・・」
言いかけたところで、少し照れくさくなって言葉を止める


「昨日は・・・信じてくれて、ありがとな」
もしかしたら、聞く耳持たず、さらに蹂躙されていた可能性もあった
けれど、言葉を信じ、身を引いてくれたのだ
礼を言われると思っていなかったのか、ノスフェラトゥは一時の間言葉を失っていた

『・・・俺としてはあのまま進めてもよかったが、奴の謀に乗るのは気に食わん』
「進めてもよかったって・・・本気かよ?」
ただ欲を覚えたからというだけでは、易々とできないこと
ノスフェラトゥは返事の代わりだと言わんばかりに、サイファーの腰に腕を回して引き寄せた

『猜疑心があるのなら、体に教え込んでやろうか』
昨日と同じく身の危険を感じたサイファーは、さっと顔を背けた
「い、いや、疑ってるわけじゃねーし、お前のこと信じてる、信じてるからいい!」
必死に逃れようとしている姿が可笑しいのか、ノスフェラトゥは口端を上げて笑みを浮かべた

『どちらにせよ、邪魔が入らん内に事を成し終えておいた方がいいかもしれんな』
ノスフェラトゥはサイファーの顎を取り、正面を向かせる
そして、抵抗する間も与えぬまま、唇を重ねた

「っ・・・」
サイファーは、反射的に肩を掴んで押し返そうとしたが
昨日のような荒々しさは感じられず、躊躇った


数秒で離れたと思いきや、またすぐに重なる
深くも浅くもない、欲望だけが先行しているわけではない口付けに、サイファーは無意識に口の隙間を空けていた
すぐに、相手の柔いものを口内に感じる
激しさが感じられない動作は、欲情させるためではなく、お互いの熱を感じ合うためだと思える

昨日の、理不尽な行為の後だから安心してしまっているのか
サイファーはほんの少しだけ動き、自らも相手に触れていた
ノスフェラトゥは一瞬目を細め、お互いの間に一分の隙間もなくなるようサイファーを抱き寄せる
冷たいはずの体は、どこか温かみを帯びているように感じられていた


相手を解放すると、ノスフェラトゥはサイファーの頬を指先でなぞった
『もっと、俺を求めるようになればいい』
「う・・・」
触れる指先との温度差で、自分がかなり紅潮しているのがわかる
心音が早いのは羞恥のせいだと思いたかったが、他にも理由があることを否定できなかった
このままでいると、自分の何かがおかしくなってしまいそうで
サイファーはたまらず、腕から逃れた

「お、俺、もう寝るわ、三日連続で寝不足はきついしな・・・」
適当な理由をつけて、サイファーは早足で格納庫を後にする
ノスフェラトゥは特に引き止めることもせず、黙って薄闇の中へ消えていった


自室に戻ってからも、まだ鼓動が落ち着かない
まるで、行為を求めているような、そんな反応をしてしまった
相手からされっぱなしなのが癪で、自分から仕掛けたことはあった
けれど、さっきの反応は、癪に障ったからだとか、動揺させてやりたいだとか、そう思ったからではないと気付いてしまっていた
今晩も、サイファーはなかなか寝付けそうになかった




―後書き―
またまた友人のリクエストで書いたエスコン小説でしたー
ノスフェラトゥが相変わらず独占欲強すぎでいかがわしくしやすいでs←

ちなみに、エクスキャリバーさんはその造形の通りとてもすらっとしていらっしゃいます
性格は、相手をからかうことが好きです