双子と僕 I


長期休暇とはいえ、短い秋休みはあっという間に終わり。
双子は少し緊張しつつ、学校へ向かっていた。
休み明け早々ある、数学のテスト。
双子は、それで80点以上取ることを目標としていた。
勉強を教えてくれた兄を喜ばせるために。

そして、兄に大きな願いを聞いてもらうために。
輪は双子が何を思っているのかなどつゆ知らず、いつもと変わらぬ様子でいた。
双子のテストが、返却されるまでは。



双子のテストが終わった後の休日、輪は双子と有意義な時間を過ごしていた。
いつものようにソファーに腰かけ、両脇に双子が居る。
以前に出て行って、勝手なことをしてしまったが。
この有意義な時間を知ってしまった今、もう双子から離れることなんて考えられなかった。

ただぼんやりとしていた時間が、双子と一緒にいることで充実してゆく。
双子の傍にいることで、輪は確かな満足感を覚えていた。
そこへ、電話の鳴る音がして、輪は双子から離れ、受話器を取った。
双子は、その電話にあることを期待していた。
輪が電話を終えて帰ってくると、双子はすぐに尋ねた。


「「兄さん、今の電話、母さんから?」」
「ああ。急な仕事が入って、今日は帰ってこれないらしい」
その言葉に、双子は表情を明るくした。
母が帰ってこないことに喜ぶことはどうかと思うが、今日は事情があった。
双子は輪の答えを聞くと、すぐに立ち上がって小走りで自室へ移動していった。
突然の双子の行動が気になり、輪も後を追いかける。
部屋に入ると、双子はそれぞれ一枚の紙を持って輪を待っていた。

「「兄さん、見て!」」
双子は兄に駆け寄り、その紙を見せた。
「あ・・・これ・・・」
紙には、たくさんの数式が並んでいる。
それは、双子が受けた数学のテストの結果だった。
右上に大きく書かれている数字は、81。
双子が自分で設定した、80点というノルマを、ぎりぎり越えていた。

「すごいじゃないか、短い間でこんな点数が取れるなんて」
輪は驚き、同時に喜んだ。
自分の教えたことは双子のためになったんだと、安心した。
「僕ら、すっごく頑張ったんだ」
「僕らのお願い、きいてほしかったから・・・」
その言葉に、輪は表情を強張らせた。
双子が高得点を取った喜びで、そのことを忘れてしまっていた。
80点以上取ったら、双子の頼みを聞くとを。


「・・・どんなことを、頼みたいんだ?」
輪は、控えめに尋ねる。
これから双子が言うことを、予測しているように。

「・・・こんなこと、こうして頼むなんて、ずるいって思うかもしれないけど・・・」
「誕生日は終わっちゃったから・・・こんなときじゃないと、頼めそうにないから・・・」
誕生日、という単語を聞いて輪の予想はほとんど固まった。
その予想通り、双子は言った。


「ぼくら・・・兄さんに、もっと触れたいんだ。だから・・・」
「ぼくら・・・兄さんのことを、もっと感じたいんだ。だから・・・」
その続きは、言わなくてもわかっていた。
輪は軽く双子の頭を撫で、そして言った。

「・・・二人に、任せるよ・・・」
この了承の言葉が、どんな行為を引き起こすのか。
今では、はっきりとわかっている。
けれど、首を横に振る気にはならなかった。
約束を守るのは当然のこと。
それだけではなく、もっと大きな要因が、双子の頼みを了承していた。
双子になら、任せてもいいと。
信頼し、信頼されている双子にならば。
望む行為をしても、構わないと思った。


輪があっさりと了承したので、双子は驚いていた。
けれど、驚愕の表情はすぐに笑顔に変わり、そっと輪に抱きついた。
「「兄さん・・・・・・ありがとう・・・」」
その感謝の言葉には、とても深い愛情が込められていた。




母が帰ってこないので、兄弟は自分達で夕食の支度をしていた。
約束したことをする時間が迫ってきているからか、輪の動作はどことなくぎこちなくなっていた。
「兄さん・・・緊張してる?」
「母さんが帰ってこないことが不安?兄さん・・・」
双子は輪のわずかな変化も読み取り、尋ねる。
「ま、まあ・・・」
輪は、そんな返事しかできなかった。
まだ夕食も食べていないというのに、緊張してしまう。

「兄さん、あんまりしたくなかったら・・・」
「無理してぼくらのお願い聞くことないんだよ、兄さん」
双子は、心配そうに輪の顔を覗き込む。
「・・・いや、約束したことだ。無理なんてしてないから・・・」
輪は、覚悟を決めていた。
どんなに緊張感や羞恥を感じても撤回はしないと。



夕食が終わり、後片付けが終わり、布団も敷き終わり、風呂が沸いたことを示すブザー音が響く。
その音を聞き、輪は一瞬硬直したが、もはや躊躇わずに風呂場へ移動した。
双子は同時に、輪の傍らに寄り添って共に移動する。
双子も同じく、緊張感を抑えながら。

風呂場で行為をすると提案したのは、輪だった。
ここなら床が汚れても、すぐに洗い流せる。
こんな行為に関しても効率的なことを考えてしまう性分は、ますます父親似だった。


入浴中、以前と同じくお互い口数が少なく、黙々と体を洗う。
いくら緊張していても、その時はやってくる。
体を洗い終わった輪の両隣に双子が座り、その時はやってきた。

「兄さん・・・じゃあ、いい・・・?」
「触ってもいい・・・?兄さん・・・」
双子の問いに、輪は頷いて了承を示す。
もはや、まともな返答を返すことすらできなくなっていた。

「「兄さん・・・」」
愛おしい者を呼ぶ声で、輪に呼びかける。
兄が緊張していることは、ぎこちない様子からすぐにわかった。
双子は、そんな緊張感を早く取り払ってあげたいという思いで、早々に輪の下腹部にあるものを掴んだ。

「あ、っ・・・」
急な刺激に、驚きが入り混じった声が発される。
双子はもう臆することなく、輪のものを愛撫してゆく。
悦を感じて、それに逆らえない姿を早く見たい。
輪の素肌を見た時点で、双子の理性は消えかかっていた。


二つの手が、同じものを愛撫する。
優しく撫で、時には指先でその形をなぞってゆく。
「ぅ・・・ん・・・っ」
断続的に伝わる感覚に、輪の声がだんだんと高くなる。
羞恥の余りか、無意識の内に声帯が閉じられようとする。
しかし、それ以上に声を発させる要因が強く、完全には抑えきれなかった。
双子はその声を聞き、自分達も反応してきていた。

やがて、輪のものが反応を示してきたところで、双子は手を離した。
「兄さん・・・今日は、結構疲れるし、痛いかもしれない・・・」
「けど・・・ぼくら、欲しいんだ・・・兄さん・・・」
憂の手が、触れていたものより下方にある箇所へ伸ばされる。
それでも、抵抗の意思はわいてこなくて、輪は黙って、双子に身を任せていた。
そして、憂の指先が下方の箇所へ、ゆっくりと挿し入れられた。

「んんっ・・・!っ、あ・・・」
触れられたことなどない、そんな敏感な部分に指が入ってきて、輪は体を震わせる。
先程の愛撫よりも強く感じる感覚に、頬がみるみるうちに紅潮していった。
「兄さん・・・声、可愛い・・・」
「いつもと違う表情も、すごく好き・・・兄さん・・・」
早く兄を満足させ、そして自分達も満足したいという思いを抑え、ゆっくりと挿し入れた指を動かす。

「っ、ん・・・は・・・」
無意識の内に羞恥心が声を抑えているのか、輪は少し苦しそうに息を吐いた。
指を奥までは進めず、第二関節のあたりで止めてある。
あまり急激に事を進めては痛みを与えるだけだと、憂はわかっていた。
一本の指で少しずつ解し、緩ませてゆく。
収縮と緩和を繰り返すその箇所は、やがて少しずつ中のものを受け入れてきていた。

「兄さん、指、増やしても大丈夫・・・?」
「痛かったら、いつでも言ってね、兄さん・・・」
欲を覚えていても、双子は兄への気遣いを忘れなかった。
「ぅ・・・ん、大丈夫だ・・・」
刺激を受けている箇所が慣れてきたのか、輪の息は少し落ち着いてきていた。
しかし、憂が指を一本増やすと、また呼気が荒くなってしまった。

「ん、っぁ・・・」
強くなった刺激に下腹部が反応し、とたんに収縮する。
しかし、じっくりと慣らされたからか、さほど傷みは襲ってこなかった。
憂はまたゆっくりと、輪の内部を解してゆく。
その間、陽は輪に触れていなかった。
それにもかかわらず、陽の頬は憂以上に紅潮していた。

「兄さん・・・もう少しだけ、広げるから・・・」
憂は、もう一本、指を慎重に入れる。
「あ、ぁ・・・っ・・・」
収縮はだいぶ緩和されてきたのか、それはまだ楽に受け入れられる。
それでも、感じるものは強くなるばかりで。
憂の後に必ず続いてくる陽の声がないことに、輪は気付かなかった。


兄の内部を丹念に解した後、憂はそっと指を抜く。
「は・・・」
感じていた刺激が途切れ、輪は力を抜き、息をついた。
そして、少し息が落ち着いてきたのを見計らい、憂がにじり寄った。

「兄さん・・・ぼくのを入れても・・・いい・・・?」
その言葉に、輪は一瞬下の方に目を向ける。
少し視線を下げるだけで、反応しきっている弟のものが視界に入る。
その瞬間、心音が高鳴り、さっと視線を戻す。
だが、その視線には、ここから先の行為に対する怯えは一切含まれていなかった。
双子を信頼し、全て任せるという意思が、言葉はなくとも伝わっていた。

「ありがとう・・・」
もう、憂の理性はもちそうになかった。
自身のものを、解した箇所へあてがう。
輪はわずかに肩を震わせたが、拒もうとはしない。
憂はゆっくりと、あてがったものを兄の中へ埋めていった。

「あ・・・!ん、ぅ・・・っ!」
先程慣らされていたときとは明らかに違う圧迫感に、抑制を失った声が浴室に響く。
圧迫を受けた箇所はとたんに収縮し、それを拒もうとする。
憂は動きを止めたが、身を引こうとはしなかった。
引き抜き、再び挿入してもまた同じ圧迫を与えることになるのは変わりない。
だから、憂はそのまま自身を進めていった。

「ぁ、あ・・・は、っ、・・・」
内部が押し広げられ、奥にまで熱いものを感じる。
弟のものが自分の中にあると思うだけでも、かっと頬が熱くなった。
収縮によって自分も熱を感じた憂は、熱い吐息を吐く。
全てを納めた憂は動きを止め、不規則に自身が圧迫される感覚に、動悸を覚えていた。
動きが止まったことで少し落ち着いたのか、輪が声を上げることはなくなった。
しかし、内側から伝わる熱は確かに感じているのか、呼気は未だに荒かった。


「陽・・・いいよ、兄さんを、満足させてあげて・・・」
「うん・・・。ぼくも、準備できたから・・・」
輪は閉じそうになる瞼を開き、陽を見る。
陽はその視線に、やや緊張気味の笑顔を返し、輪の上にまたがった。

「ぼく、欲しいんだ・・・兄さんのことが・・・」
陽の吐息は、同じように熱っぽかった。
ただ隣で行為を見ているだけだったとは思えないほどに。
陽は、膝立ちになって自分の体を持ち上げる。
そして、輪を見詰めたまま、下方にあるものをやんわりと掴んだ。

「んん・・・っ」
少し触れられただけでも、輪は敏感に反応を示す。
すると、憂も同じく息をつく。
繋がっている今、輪の反応は憂にも感じられていた。

「兄さん・・・」
陽の呼び掛けに、輪は視線を合わせる。
その視線がかち合ったとき、陽は自ら体を落とした。
さっきまで自分で解していた箇所に、兄のものを挿入するために。

「んっ・・・あぁ・・・」
「よ、陽・・・っ、あ、あ・・・っ」
自身のものが、陽の中へ埋められてゆく。
陽は、中を開かれる圧迫感に。
輪は、陽から与えられる収縮に、声を上げていた。
じわじわと、慎重に、陽は腰を落としてゆく。
それが少し進むだけでも、お互いは熱い吐息を吐く。
それは、憂も例外ではなかった。


「はぁ、は・・・っ。ぼくら、兄さんと・・・繋がってるんだね・・・」
双子のどちらからか、それとも両方からか、そんな言葉が聞こえてくる。
もはや、輪にはそれを判別する余裕がなかった。
どちらも、かなり敏感な個所に感じる熱。
自身のものは、先の先まで陽を感じ。
中は、最奥まで憂を感じている。
今、輪の体は求めていた。
もう、この熱を解放してほしいと。

「「兄さん・・・動くから・・・」」
憂が少し身を引き、陽は腰を持ち上げる。
そして、双子は同時に自身を動かし始めた。

「あ、あぁ・・・っ!」
挿入されている箇所は突き上げられ、再び圧迫感を覚える。
弟の中にある自身のものは締め付けられ、強い悦を感じさせる。
「ぁあっ・・・!」
憂が兄の内部で収縮を感じ、声を上げる。
熱っぽくなった吐息と声は抑制を忘れ、発されてゆく。

「ふ、あ・・・ぁ・・・っ!」
自分で輪のものを最奥まで進めた陽も、声と共に熱い吐息をつく。
双子は、兄を満足させるたに、そして自分達の欲も解放させるために動き、お互いを掻き乱した。
憂は中間付近まで身を引いて、再び最奥へと自身を進め。
陽は兄のものを逃さぬように、自身を収縮させて圧迫する。
そうするたびに、双子も輪を感じ、どんどんと熱は上って行った。
一番強い悦を感じているのは、言うまでもなく輪だった。
二か所から感じる強い感覚に、長くは耐えきれそうになかった。


「っ、ぁあ・・・!憂、陽・・・っ!」
抑制できない声と共に、荒い息が漏れる。
そこから、まるで勝手に発されたように、双子の名が呼ばれた。
「「は、あっ・・・・・・兄さん・・・」」
限界寸前なのか、双子が動くと輪の体が震えるようになる。
双子はそれを合図としたかのように、声を揃えて囁いた。


「「兄さん・・・・・・・・・愛してる・・・」」
お互いを達させるために、双子は激しく身を動かした。
自身の中に感じる、強い憂の熱。
熱を帯びた陽に包まれ、圧迫される自身のもの。
突き上げ、収縮し、双子はひたすらに兄へ欲を与える。
そして、強く自身を収縮させ、同時に最奥を掻き乱した。

「は、あぁ・・・っ、あ、あ・・・!」
震える体、抑制のない声。
突き動かされた箇所は、一気に収縮を繰り返し。
埋められたものは、熱を解放させるように痙攣する。
その反応に、双子もとうとう抑えきれなくなった。

「兄さん・・・っ!あ・・・!」
輪の中にある憂のものが、急激な収縮によって全体を締め付けられる。
今までよりも強いそれに、憂の体が震え、内部のものが脈打つ。
そして、自身の熱を解放させる直前で、憂は腰を引いた。
しかし、完全に引き抜くことはできなくて。
埋まっているものの先端から、熱を含んだ液が解放された。


流れ込んできた粘液質な感触のものに、輪は再び体を震わせる。
その感触は、陽も感じていた。
輪が達したときに解放された熱は、陽の最奥に注ぎ込まれていた。

「あぁ・・・兄さん・・・っ、ああ・・・!」
最奥に流れ込む熱を感じた瞬間、陽の声が高く上ずった。
「んん・・・っ!あぁ・・・」
輪は強い収縮を感じ、陽が上ずった声を上げた後、起ちきっていたものがいっそう熱を帯びた。
そして、その熱さは輪の上に散布され、解放された。

「は・・・っ、は・・・あ・・・」
陽は大きく息をつき、ゆっくりと体を持ち上げる。
解放された輪のものには、どちらのものとも言えない液が絡みついていた。
それは憂のものも同じで、引き抜かれたそれにも淫猥な液体が絡まっていた。

三人は余韻で、しばらく肩で息をすることしかできなかった。
特に輪の虚脱感は強く、指一本動かすのも気だるいと言うように、ぐったりとしていた。
身にかかった陽の液を、気にする余裕もないほどに。




先に体を動かせるようになった双子は、輪の両隣に座って身を寄せる。
お互いの体温は、まだ十分に温かかった。

「兄さん、ありがとう・・・気持ちよかった・・・」
「すごくどきどきして・・・幸せだったよ・・・兄さん」
双子は輪の肩に頭を乗せ、目を閉じる。
兄と触れ合う幸福感を、じっくりと味わうように。
輪も目を閉じ、視界を閉ざす。
この気だるさがなくなるまで、双子の体温だけを感じていたかった。




しばらくすると熱がおさまってきて、虚脱感もましになった。
輪がわずかにみじろぐと、双子は目を開いて頭をどけた。
「冷えてくるから、そろそろ・・・」
輪はまだ重たく感じる体を起こし、立ち上がろうとした。

「あ・・・」
少し体勢を変えたとたん、輪は自分の中から流れてくるものを感じて動きを止めた。
先程まで憂が入っていた箇所が疼き、再び液の感触を感じる。
それが憂のものなのだと思うと、おさまったはずの熱が上昇してゆくようだった。

「兄さん、いいよ。ぼくらがするから」
「まだ座っていて、兄さん」
動かない輪を見て何かを察したのか、双子はさっと立ち上がってシャワーを取った。
そしてお湯を出し、液がかかっている輪の体を洗った。
普通は兄が弟を洗ってやるものだと思ったが、気恥ずかしさなんてもはや感じなかった。

まだ乾いてはいない液体が、流れ落ちてゆく。
最も液が絡んでいる箇所にも触れられ、弱い水圧で優しく液が取り払われた。
動いた拍子に液が零れてきた箇所も、同様に。
その箇所に触れられるとまた声を上げそうになったが、口を固く結んで耐えた。
あられもない声で、双子がまた欲を覚えてしまったら流石に身が持たない。

その後、双子も自分達の体を洗った。
浴槽に入るときも、双子は輪の傍にいた。
輪はもはや、これが狭苦しいなんて、微塵も思わなくなっていた。





体を温め終わり、三人は浴室から出る。
双子の動作は、少し遅かった。
眠るときは兄が離れて行ってしまうと、名残を惜しんでいるからかもしれない。
服を着て、輪が脱衣所を出る。
すると、双子はすかさず輪の両腕にすがりついた。
輪は歩みを止め、双子を見下ろす。
双子は、自らの体を強く押し付けていた。
それは、まるで部屋に行かせたくないと主張しているようだった。

「・・・一緒に、寝ようか」
輪がそう言った瞬間、双子の表情がぱっと明るくなった。
「「兄さん、ありがとう・・・!」」
双子の嬉しそうな表情を見て、輪もふっと頬を緩ませた。




双子の部屋に布団を二つ敷き、そこに三人が横になる。
身をくっつけていなければ、体が布団の外へ出てしまいそうだった。
窮屈と言えば窮屈だったが、今は気にならなかった。

「何だか、夢みたいだ・・・兄さんと・・・」
「うん。兄さんと繋がって、こうして一緒に眠れるなんて・・・」
双子は横から輪に抱きつき、指をそっと絡めた。
輪は双子の手を、そっと握り返す。

こうして気を落ち着けて考えてみると、もはや自分も重度のブラコンになっていると気付く。
けれど、それは忌むべきことではない。
双子との行為はかなりの羞恥と虚脱感と覚えるものだった。
それでも、拒む気が全く起こらなかったのが、その証拠だろう。

今も、確かな幸福感を胸の内に感じている。
たぶん、同じことを思っているのだ。
双子が愛情を抱いてくれているのと同じように、僕も―――。
三人の寝顔はとても安らかで、満たされていた。




―後書き―
読んでいただきありがとうございました!。
これにて、連載は終了です・・・が、また話を思いついたら短編として突発的に書くと思います。
この3Pを書きたいがために始めた連載と言っても過言ではない、そんな兄弟モノでした。