告白の結末、後編


自身がもう進めなくなったときには僕の口からも熱い吐息が漏れ、
時たま自分では想像もできないような、上ずった声が発されるようになっていた
そこで僕は呼吸を落ち着けるために止まり、イタリアの頬を撫でた
僕以上に疲弊しているに違いない彼への、せめてもの労りだった

「リンセイ、リンセイ・・・」
イタリアはすがるようにして、僕を引き寄せた
初めて感じる感覚に、戸惑っているのかもしれない
僕はイタリアを落ち着けるために、中にあるものを動かさないようにして優しく口付けた

「ん・・・」
重ねたその個所から、熱くなっているイタリアの体温が伝わってくる
早くなっている心音が、お互いに伝わってゆく
僕が少し身を離した後も、イタリアの息は熱っぽいままだった
そうして息を荒げている姿が、たまらなく愛らしく感じた
僕は、もう自分を抑えることができなくなってきていた

「イタリア・・・」
僕は合図するように愛しい相手の名を呼び、そして自身を動かし始めた

「ふあ・・・っ、あ・・・」
わずかに身を引き再度奥へ進めると、イタリアは甘い声を発した
悦を感じている、荒く熱っぽい声
そのとき、僕の理性はどこかへかき消えていた
もう、イタリアに拒否されない限り行為を中断することはできそうになかった
僕はさらに自身を動かし、イタリアの中を掻き乱した

「ひゃ・・・ぁ・・ん、あ、ああ・・・っ!」
動くたびにイタリアは声を発し、そのたびに僕の欲は増していった

いつも、求められるのは僕のほうだった
それが、今では逆になっている
僕は今のイタリアの声も、熱も、全てを求めたいと、そんな想いで一杯になっている
そして、一番欲しいものを得るために、僕は何度もイタリア責め立てた

「ふあ・・・っ!リンセイ・・・もう、俺・・・っ」
イタリアは、自分に限界が近付いているのを何となく察しているようだった

「・・・っ、僕も、もう・・・」
その限界は、僕自身にも近付いてきていた
動くたびに収縮し、締め付けられる感覚が、僕の欲を誘っていた
僕はその欲に誘われるがままに、イタリアの奥へ何度も自身を進めた
イタリアに、より強い悦を与えるように
そして、僕自身の欲を解放させるように
僕は強く、イタリアの最奥を突き上げた


「ふぁあっ!ん、リン・・・セイ、あっ、ああ―――っ!」
イタリアがいっそう甘い声を発したかと思うと、瞬時に内部のものが強く締め付けられた
そして、僕の腹部にイタリアの粘液質なものが散布したのを感じていた

「っ、は、あ・・・っ!」
僕は、その収縮に耐えることはできなかった
自身のものが脈打ち、解放される
僕はとっさに身を引こうと思ったが、イタリアに強く引き寄せられ、それは叶わなかった

「ぁ・・・っ」
僕は小さく余韻の声を発し、イタリアへと欲を注いだ
流れ込んでいった液が僕にも伝わり、今更ながら恥が蘇ってくるようだった

「ひゃ・・・ん・・・」
自分の中に注がれた粘液質なものを感じたからか、イタリアはわずかに震えた
それは気持ちのいいものではないだろうなと申し訳なく思いつつ、僕は自身を引き抜いた
伝った糸でシーツが多少汚れても、今は気にならなかった


「イタリア、大丈夫か・・・?」
行為の後の余韻で息を切らしていたが、僕はすぐに問いかけた
イタリアは僕以上に息が荒く、頬も紅潮していたのが今になって心配になっていた

「ヴェ・・・へいき・・・だよ・・・。俺・・・嬉しいよ・・・」
息が整わないまま、イタリアはそう言ってくれた
そして、まだ疲労しているに違いないのに、イタリアはいつものような笑顔を僕に向けていた
とたんに僕は胸が温かくなるのを感じ、イタリアを抱きしめた

「僕も、嬉しいよ・・・」
具体的な言葉は言わなかった
この胸の温かさを伝えられる表現を、僕は知ってしまった
今までそんなことを知らなかった僕にとって、それを面と向かって伝えることは、先の行為より照れてしまいそうなものだから


「・・・ありがと、リンセイ。俺のわがままにつきあってくれて・・・」
「我儘?」
僕はイタリアを見詰め、問いかけた

「だって、俺が急に指輪出して、結婚してって、むりに言ったから・・・」
そんなイタリアの発言に、僕は目を丸くした

イタリアは、僕がこの行為をただのつきあいでしたと思っている
自分が無理に押し付けた行為なのだと、イタリアはそう感じている
僕は、それが無性に悲しくなった
決して、我儘につきあったわけではない
僕は、本当にイタリアを求めたかっただけなのに

「・・・僕は、単なる我儘につきあったつもりはない」
伝えたい、知ってほしい、僕がどうして君とこの行為をしたのかを
抱きしめられるだけで顔を真っ赤にしていた僕が、どうして自らこの行為に及んだのかを

感じた胸の温かさ
それを伝えることに、もはや躊躇うことなんてないんだ
それは、僕が指輪を捧げたときから、いや、もっと以前からかもしれない
その感情は、とっくに芽生えていたものなのだから


「君を・・・君を愛していなきゃ、こんなことできない!」
僕は、叫ぶようにして訴えた
いつの間にか気づかされていたこの感情を、思い切り目の前の相手にぶつけた

イタリアはしばらくの間、黙って僕を見ていた
僕もじっと、イタリアと視線を合せていた
すると、ふいにイタリアの目の端から、滴が流れ落ちた
僕は、さっきの声で怯えさせてしまったのだろうかと思い、動揺した
だが、イタリアの言葉はそれとは逆のものだった

「お、俺・・・リンセイ、俺のこと・・・う、嬉しくて・・・」
イタリアは言葉を紡ぎながら、悲哀の含まれていない涙を流していた
涙腺が緩んでいるせいか、その言葉は言葉になっていない感じだった
それでも、イタリアの想いはちゃんと感じ取ることができた
僕はいつものようにイタリアの頭を撫で、自分のほうに引き寄せた

打ち明けた僕の想いが嬉しくて、彼は泣いてくれている
こんな僕の想いが、彼を満たしている
そう思うと、僕も涙腺が緩みそうになった
僕は、彼が想いを受け止めてくれたことが、その想いが嬉しくて泣いてくれていることが、また嬉しかった
僕はイタリアを抱き寄せ、落ち着くまで頭を撫で続けた


こんなにも感情を顕著に表わせる彼が、とても愛らしく感じる
嬉しい時は嬉しいと、悲しい時は悲しいと、はっきりと表に出せる
それだからか、彼はその場の雰囲気を和ませてくれる
張りつめた僕の国も彼がいてくれたら、空気が変わる気がする

彼の影響力は、僕にも大きく表れている
人と居ることの楽しさ、その温もりの安心感、そして、今覚えている感情
それらを、彼は教えてくれた


「・・・リンセイ」
落ち着いたのか、イタリアに名前を呼ばれて僕は視線を合わせた

「俺・・・俺、リンセイのこと、大好き・・・。愛してる」
イタリアはかわいらしく、満面の笑みでそう言った
僕にはまた愛しさが込み上げてきて、イタリアの頭を撫でた
そのときの僕の眼差しは、自分でも自覚できるほど優しかった

「僕も・・・イタリアのこと、愛してるよ・・・」
僕はゆっくりとイタリアを引き寄せ、何度目かわからない口付けを交わした
もはやこの行為も、自然とできる
彼のことが、とても愛しいと思うから
そして、僕は思った

イタリアとなら、結婚してもいいと―――




―後書き―
読んでいただきありがとうございました!
このサイトのイタリアは誘い受けタイプとなっております、今更ですが
元々受け設定だったオリキャラを、どうやって攻めに転じさせるかと考えた結果がこれでした
タイトルが伊攻めverと同じですが・・・思いつかなかったんです、すみませんorz