締結後の夜、後編


「・・・いいよ。イタリアがしてくれたんだから・・・僕も・・・する」
その行為は、今以上の羞恥を感じるものだと思う
けれど、イタリアをこのままにしておくのは気が咎める
それに、僕はイタリアの声を聞きたかった
抑制されていない、熱っぽい声を
官能的な気分になっているのか、僕はそんなことを考えていた

「いいの?無理にしなくても、いいんだよ」
僕の性格を知っているからか、イタリアは心配そうに言った

「無理なんてしてない。・・・場所を交代しよう」
僕はまだ戸惑っているイタリアを半ば無理やりベッドにもたれさせた
そしてお互いに迷いが生じない内に、イタリアの下肢へ顔を近付けた
相手のものをこんなにもまじまじと見るのは初めてで、いきなり口に含むことには少し躊躇いが生じた
だから、僕はそれをやんわりと撫でた後、少しだけ舌を這わせた

「ひぁっ・・・」
イタリアの体が、驚いたように一瞬跳ねる
続けざまに舌を這わせ、先端部分を少しずつ舐めてゆくと、イタリアの頬はみるみるうちに紅潮していった
手で触れられるよりよほど敏感に感じるのか、息もだんだんと荒くなっているようだった

「ん・・・っ、リンセイ・・・」
イタリアから、まるで求めるように名を呼ばれる
僕はそれに応えるべきだと思い、今度は根元から切っ先にかけて、ゆっくりと這わせた

「ふぁ、あ・・・ん・・・」
甘い声が、頭上から聞こえてくる
僕はその声を聞くと、再び心音が高鳴るのを感じた
そして、もっと声を聞きたいと、そんなことを思っていた
その思いは、僕を次の行動へ移れと促しているかのようだった
その思いに押され、僕はとうとうイタリアのものを口に含んだ

「あぁ・・・!ん、ふぁ・・・」
イタリアは感じる悦の余り、体を小刻みに震わせた


いっそう熱っぽい声が、耳に届いてくる
僕の口内にあるものはとたんに反応し、熱を帯びていた
それは何とも奇妙な質感だったが、口に含んでいることに嫌悪は感じなかった
むしろ、これをどうすればイタリアを満足させられるのかと、そんなことを考えていた

僕は口内のものを少し深く咥え込み、舌で愛撫した
するとイタリアはまた上ずった声を上げ、体を震わせた
羞恥なんて、今更どうでもよかった
ただ、イタリアの声や反応を感じていたいと、そう思っていた


「リンセイ・・・っ、ぁ・・・あ・・・」
限界が迫ってきているのか、イタリアの息遣いが荒くなる
そこで、僕はイタリアのものを全て咥え込んだ
それだけでもイタリアは声を上げて反応を示したが、僕はさらに行為を進めた
さっき自分がされたように、僕は口内のものを強く吸い上げた

「ふあぁっ!あ、あ、ふ・・・あ、あぁっ―――!」
いっそう上ずった声が聞こえたかと思うと、口内にあるものが震え、脈打った
そして熱い液体が散布され、独特な匂いが鼻をつく
僕はそれを溢さないように慎重に、咥え込んでいたものから口を離した
口を離したときに伝った糸が、とても淫猥に見えた


イタリアはぐったりとし、肩で息をしていて、余韻に浸っているようだった
僕はというと、口内のものを何とか飲み干そうと開口することを堪えていた

口内にある液体の量は意外と多く、一息では飲めそうにない
少し油断すれば、とたんに口が開かれ零れ落ちてしまう
決して美味なものではないので、僕は吐き出すことも飲み込むこともできずに制止していた
そんな僕の様子に気付いたのか、イタリアが心配そうな表情で近付いてきた

「苦しかったら、出してもいいよ。苦いし、ねとねとしてるし・・・」
気遣いの言葉がかけられたが、僕は首を横に振った
イタリアはそんな苦くてねとねとしたものを飲めたのだから、自分にだってできないことはないと、僕は半ば意地になっていた
でも、このままだと本当に吐き出してしまうかもしれないと、そんな予感がしていた


「・・・リンセイ」
液と悪戦苦闘している中ふいに名を呼ばれ、イタリアと視線を合わせた
するとすぐにイタリアの顔が近付き、そのまま口付けられた
こんな時なので僕は慌てて身を引こうとしたが、背に両腕をまわされ阻止された
そして、閉口していた僕の唇を割るように、柔らかなものが侵入してくるのを感じた

「っ、ん・・・」
それは液が絡みついている口内に差し入れられ、僕は口を開いてしまった
閉じないと液が零れ落ちてしまうと思ったが、イタリアの舌があってそうはできなかった
イタリアは何度か舌を出し入れしているのか、ひっきりなしに口内のものが動く
そして気付いた時には、口内の液体はほとんどなくなっていた


「あ・・・」
口付けが終わり、イタリアを見たときにはもう遅かった
喉が上下し、イタリアは再び液を飲み干したのだということがわかった

「ヴェ・・・やっぱり、苦い〜」
イタリアは少し眉を下げたが、その表情から嫌悪は感じられなかった

「イタリア・・・ごめん、僕がもたもたしてたから、君に嫌な思いをさせて・・・」
それでも苦くて嫌な思いはしたに違いないと、僕は謝った
けれど、イタリアは首を横に振った

「嫌じゃなかったよ。リンセイも、俺のしてくれて気持ち良かったし・・・嬉しかった」
その言葉が本心からだと示すかのように、イタリアは満面の笑みを浮かべた
僕は申し訳ない気持ちもあったがひとまず安心し、頬笑みを返した

「それじゃあ、眠る前に・・・口、濯ぎに行こう」
口内に液がなくなったとはいえ、独特な匂いはしっかりと残っている
これでは寝つきが悪いだろうと、僕はそう提案した
そして服を着直してから洗面台へ向かったのだが、その途中でイタリアに背後から抱きつかれて止められた

「イタリア?」
「リンセイの、気持ち良かった・・・けど、まだ・・・したいな」
「え・・・あ・・・・・・」
すぐ傍で大胆なことを言われ、僕は言葉がどもった
今更恥ずかしいと思うことではないのだが、まだ慣れないせいか動揺してしまっていた

「口、濯いでからでいいから・・・今度は、リンセイがねっころがって、ね・・・」
「・・・え、ええと・・・・・・わ、わかった、そうしてほしいんなら・・・それでいい」
言葉の意味を理解し、僕は赤面した
今日は、もうしばらく眠れない
明日は、昼近くまで寝続けることになりそうだった




―後書き―
読んでいただきありがとうございました!
初のヘタリア半ば夢短編がこれですよ、R-18でさーせんorz
ヘタリアジャンルは結構大胆なこと書いても大丈夫そうだな・・・って、妄想した結果がこれですよ