異種との交わり2


うちには、とても奇妙なペットがいる。
そのせいで一人暮らしを強いられてしまったけれど、ペットを手放すよりはいい。
どこへ行っても買えない、何物にも代えがたい、大切な家族なのだから。

「スイ、ただいまー」
帰宅して呼びかけると、音もなくペットが姿を現す。
うだるような暑さの中、水色の体は見ているだけで涼しくなるようだ。
「今日も陽射しが強いや。スイは相変わらずひんやりだな」
スイが足に擦り寄ってくると、冷たくて気持ち良い。
体を撫でると、ぷにゃぷにゃとしていて弾力がある。
このペットは犬でも猫でもない、ゲームの序盤に出てきそうな、丸いスライムだった。


この不思議なものは、事故で生まれた。
理系専攻でいろんな薬品に触れる機会があり、どこをどう間違えたのか、生み出されていた。
最初は手の平サイズだったが、今では丸々と大きくなり自分の腰元まである。
家族からは白い目で見られたが、捨てるには愛着がわきすぎていた。

「だいぶ汗かいたから、シャワー浴びてさっぱりしてくるよ。ちょっと待っててな」
移動すると、スイは脱衣所の前でぴたりと止まる。
聞き分けがよくて、静かで、手触りがいい、これ以上のペットはいないと満足していた。

シャワーを浴びるとさっぱりするけれど、だいぶ暑くなる。
下着だけ履いて廊下に出ると、すぐにスイが傍にきた。
「はー、スイ―」
大きなクッションの上に寝転ぶように、スイの上に乗る。
弾力のある体が弾み、体温がほどよく冷やされていく。
このときが、一日の疲れが吹き飛ぶ、癒しの時間で、
スイがいてくれるから、一人暮らしでも、多少つらいことがあってもやていけていた。


「スイ、聞いてくれー」
帰宅するなり玄関口で呼びかけるとスイがすぐさま寄ってきて、力なくスイの上に倒れ込んだ。
「予想ついてるかもしれないけど・・・また、フラれたよおおお」
スイの体を思い切り抱きしめ、悲劇的に叫ぶ。
すると、スイは少し形を変え、ぷにゃぷにゃの腕に背中をさすられた。
スライムに慰められるなんて滑稽なことだけれど、すがらずにはいられない。

「ううう、今度の子こそ大丈夫だと思ったのに・・・」
実を言うと、フラれた原因はこのスイだ。
家に来たいと言われて、こんなペットがいてもいいかと写真を見せる。
すると、必ず女性はどん引きし、離れていくの繰り返しだった。

うなだれていると、スイは脱衣所の前に移動する。
さっぱりして気分転換でもしろと、気遣ってくれているようだ。
「ありがとう・・・とりあえず冷や汗流してくる・・・」
よたよたと脱衣所に入り、もたもたと服を脱いでシャワーを浴びる。
体は温まっても、心は冷え冷えとしていた。


10分ほどで洗い終わり、廊下に出る。
着替えを持ってきていなかったけれど、構わずスイに倒れ込んだ。
「あー、うー・・・」
力なく呻き、スイのぷにぷにの体を揉む。
その感触が、女性特有の柔らかさに似ていて、変な気持ちになりそうだ。
スイは、慰めるように背中をさすってくれた。

「・・・ごめん、ちょっと」
何度も感触を感じている内に危なくなってきたので、離れようとする。
けれど、スイは嫌がるようにふるふると体を震わせた。
「スイ?」
まだ、離したくないのだろうか。
そう思ってじっとしていると、ふいに、下腹部のあたりがもぞもぞと動いた。

「スイ、何して・・・」
なぜか、下腹部の部分だけ動き、ふるふると揺れる。
そこを揺らがされると、いけない感覚を覚えてしまいそうになって焦った。
「だ、だめだよ、そこは」
止めようとしても、スイは動きを止めない。
振動は徐々に強くなり、下腹部の中心が集中的に震えた。

「んんっ・・・」
ぎゅっと、堪えるようにスイの体を掴む。
すると、震えが止まったものの、敏感な個所が撫でられる。
「は、あ・・・」
すべすべで、柔らかいものに撫でられて、甘い声が漏れる。
なだらかに愛撫され続け、気付けばうっとりと目を細めていた。


「スイ、慰めてくれるのはいいけど・・・もう、大丈夫・・・」
大丈夫だと言おうとしたとき、ぷるぷるの腕が後ろへ伸びる。
そして、隙間へするりと入り込んだ。
「ひっ、ど、どこ触ってるんだよ」
答えるはずもなく、スイの腕が迫ってくる。
そして、隙間の奥の窪みへ、先っぽがぬるりと入った。

「あぁ・・・っ」
とたんに、窪みが縮こまって侵入を拒もうとする。
けれど、柔らかなものは抵抗をものともせずに、奥へ進んできた。
「あう、ああ・・・」
少しずつ、中が侵食されていく。
自分の内部に触れられたことなんてなくて、淫らな感覚が一気にせり上がってくる。
止めようと反射的に収縮しても、むにむにとしたものを感じるだけだ。

スイが少し動くだけでも、体が快感に打ち震える。
とんでもないことをされているのに、強く突っぱねることができない。
体を掴んで肩で息をしていると、中にあるものが抜かれた。

「は・・・あ、ぅ・・・」
刺激がなくなって、どっと脱力する。
ぐったりとしていると、スイはまた震えて形を変えた。
今度は、スイの体に下腹部が包み込まれ、わずかな隙間もジェルで満たされる。
ぷるぷるな感触が気持ちいいと思ったが、それは再び窪みに入り込んできた。

「ひ、っ、ああ」
ずるずると、スイの体が窪みの中へ流れ込む。
さっき触れられた箇所よりさらに深く、みるみるうちに侵されていって
液体と個体の中間、まるでゼリーのようなものに、中が押し広げられてしまう。
「あう、あ、や・・・っ」
反応してしきりに収縮すると、自分の中にあるスイを余計に感じる。
スイはただ進むだけでなく、相手の意識を奪うよう中でうごめいた。

「ああっ、スイ・・・ひぁあ、ん」
縦横無尽に動かれ、声が震える。
乱れに乱されて、じわじわと悦楽がつのっていくのがわかる。
スイの感触しか感じられない、達してしまいたい。
その思いを読み取ったように、スイが最奥まで流れ込んだ。
「あ、あ、スイ、だめっ・・・んう、あ、あぁ・・・!」
隅々まで侵され、奥が開かれた悦に耐えられない。
甘い声を出して、窪みがスイの体を締め付ける。
むにむにとした感触さえも淫らに感じて、自分の前から白濁が溢れた。


吐精の直後、力なくスイに身を預ける。
快楽を感じた後に、後ろからスイの体液が少しずつ排出されていく。
「は、ぅ・・・ぁぁ」
達したばかりの体は敏感で、スイが中から流れ出ていく感触にも吐息を漏らす。
完全に抜かれた後もまだ余韻が残っていて、しばらく動けなかった。

「慰めてくれたのか・・・?僕が、いつも振られて、欲求不満だから・・・」
肯定するように、スイの腕が背中をさする。
「そっか・・・。・・・汚して、ごめんな。後で、ちゃんと洗うよ・・・」
嬉しいのか、スイはぷるぷると震える。
踏み越えてはならない一線を、超えてしまった。
けれど、たとえ異形の相手でも、こうして寄りかかれることに安らぎを感じていた。




―後書き―
読んでいただきありがとうございました!
二話目はスライム、自由に形を変えられるのをいいことに、いろいろとやらかしました。
ぷるぷるぷよぷよ、これはこれでいいかと・・・