限りなく危ない夢と妄想14


飲み会がお開きになってから、ジェンに案内された部屋はホテルのような雰囲気だった。
中には3人はゆうに寝られそうな大きいベッドがあり、資産家なのだとつくづく思った。
「寝る前にさ、皆でお風呂入ろうよ!こんな機会、滅多にないんだし」
ジェンは無邪気に言ったが、僕はとたんに心配する。
皆の裸を見たら、自分の体が反応してしまうのではないかと。

「まあ、いいんじゃないかな」
「ああ、酔いを覚ましておいた方がいいかもしれねえし」
僕の心配をよそに、シンとアスが平然と了承する。
皆、よほど自分を制する自信があるのだろうか。

「ルイはどう?もう、ユウヤもいいって言ってくれてるんだけど」
「・・・わかった。皆で入ろう」
こうなっては、僕一人だけ断るわけにもいかず、覚悟を決めた。




部屋が広ければ浴室も広く、泳げはしないけれど、5人で入っても狭苦しくはない広さだった。
脱衣所で、下着を脱ぐときに躊躇いが生まれたけれど。
皆は平然としていたので、自意識過剰すぎたと反省した。
けれど、あまりまじまじと皆の姿を見ることはできないでいた。

「こんなに大勢でうちのお風呂入るの初めてだよ。何でもかんでも好きに使っていいからね」
洗い場を見ると、いかにも高級そうなボトルが置いてある。
シャワーは二つだけだったので、順番待ちが長くなりそうだった。

さっと体を流して、並々とお湯が張られた浴槽に入る。
お互いの距離が近くなるので、自然と相手が目に入ってしまう。
ジェンが何もまとっていない姿は見たことがあったが、実はそれ以外の相手はない。
シンは後ろから抱くのが好きだから見えないし、アスは必要最低限の服を脱ぐだけで。
僕からユウヤにするときも、無理に脱がせることはなかった。

好奇心が先行して、ユウヤの体をちらと見る。
その体つきはジェンと似て小柄で、流石に見ただけでは自分が反応しないようでほっとした。
左にはアスがいて、あまり直視してはいけないと思いつつもやっぱり見てしまう。
アスは細身で、無駄な肉などついていないようなスレンダーな体型で。
均衡のとれた体つきは、同性の僕から見ても、格好良いなと、そう思うえるほどだった。

「ふふ、僕の体に興味があるのかい?」
視線に気づき、アスが不敵に笑う。
「見たことなかったから・・・つい」
「そういえばそうだったね。全員、気が済むまで見ればいいよ」
そう言われると逆に直視しづらくて、数秒だけに留めておいた。
シンも同じ様な感じかと思って逆側を見ると、まるで違った。
細身なのだが、肩や腕には筋肉がしっかりと筋肉がついている。

「シン、鍛えてるんだな」
「いや、弟の遊び相手してたら自然にこうなった」
遊園地に行ったときのことを思い出して、納得する。
疲れ知らずのシュンといれば、嫌でも鍛えられることだろう。


「・・・触ってもいいか?」
「ああ、好きにしな」
体つきの違いに興味を持って、腕を掴む。
力が入っていないはずなのに、全然柔らかくない。
胸部の辺りに掌を押し付けると、自分よりも胸板が固くて男らしさを感じる。
調子に乗って太腿にも触れたが、そこも強度があった。

「・・・悪い、やっぱ、そろそろ離れてもらっていいか」
「あ、ごめん」
触り過ぎたかと、さっと手を退ける。
「別に、嫌っていうわけじゃなくてな、その・・・抑えらんなくなりそうだからよ」
「え、あ、ご、ごめん・・・あ、ユウヤ、背中流すよ!」
僕は慌てて、いつの間にか洗い場にいるユウヤへ駆け寄った。
ユウヤは振り向いて一瞬驚いた顔をしたが、今日の僕は大胆になっているので遠慮はしない。

「ほら、スポンジ貸して」
「う、うん」
柔らかいスポンジに、高級そうなボディーソープをつけて泡立てる。
花の良い香りがするスポンジで、ユウヤの背中を優しく擦った。

緊張からか、ユウヤがやや猫背になるので、肩を掴んで留める。
思えば、こうして素肌に触れるのは久し振りで。
自重していない今の僕は、もっと触れたいなんて考えてしまっていた。
背中を洗い終わっても、物足りない。
僕はユウヤの腕を少し持ち上げ、そこもスポンジで擦っていった。


「あ、あの、ルイ」
「もう少しだけだから」
細い腕を、肩口から指先まで洗う。
後ろからなのでユウヤの表情は見えなかったが、体がやや強張っていた。
腕が泡まみれになるのもさほど時間がかからず、すぐに終わってしまう。
それでも、僕はまだスポンジを手放さずに、今度は体の前面を洗おうと腕をまわしていた。

「あ、あの、前は、自分で、やるから」
ユウヤが本気で恥ずかしそうにしていたので、素直にスポンジを返した。
「じゃあ、二人だけのときならいいか?僕の家でも、ユウヤの家でも構わない」
「ル、ルイ・・・酔ってるね」
「そうだね」
酔いのせいにしなければ、素肌にべたべたと触れられないし、誘いかけるような台詞なんて言えない。
アルコールはなんて都合がいいんだと、僕は飲酒が好きになりそうだった。

「ルイ、何口説いてんのー?」
いきなりジェンが後ろからのしかかってきて、肌が密着する。
ジェンはリードする側ではないとわかっているからか、さほど動揺はしなかった。

「ルイはボクが洗ってあげるよ。シンとアスにさせるの不安だし」
「ああ、ありがとう」
ジェンは手早くスポンジを泡立て、縦横無尽に体を擦った。
くすぐったくて、かすかな笑みがこぼれる。
それ以前に、気の置けない相手と体を洗い合っている状態が楽しくて、微笑んでいた。




「あの三人組、仲良し小良しって感じだな」
体を洗っている三人を見て、シンが呟く。
「ルイも安心しているんだろう。ユウヤとジェンは僕等とは違うからね」
「まーな。俺、さっき数学の数式必死に考えてたし」
ルイに触れられたとき、シンは酔いも助長して手を出しそうになっていた。
けれど、場所をわきまえられないほど子供ではなく、関係ない事で頭を一杯にして耐えていた。
二人だけしかいなかったら、襲っていたと思う。

「この後、するのか?」
何をと言わずとも、二人の間ではわかる内容をアスに問う。
「さあね。ルイ次第かな」
「・・・まあ、俺はややこしいこと考えらんねえし、お前に任せる」
シンはあまり欲を膨らませないよう、ルイ達から目を逸らした。




その後は、二人と洗い場を交代し、もう一度体を温めてから浴室を出る。
脱いだ服は片付けられていて、用意のいいことにバスローブが置いてあった。
手触りがもこもこふわふわで、腰紐を結んで着てみると全身が毛皮に包まれるようで。
着心地は抜群だったが、ただ一つ、気にかかる事があった。

「・・・あの、ジェン、下着がないんだけど」
「知らないの?バスローブを着るときは他に何も身に付けないんだよ」
「「えっ」」
僕とユウヤのリアクションが見事に被る。
「部屋は温かいから大丈夫だよ。それに、人肌の温もりもあるしね。さ、行こー」
ジェンは悪気もなく言い、ユウヤに腕を絡めて引っ張って行った。
ここでじっと待っているのも暇なので、僕も部屋に戻った。




部屋に入ると、僕は大きなベッドの真ん中に寝転がる。
1人になると、なぜだか落ち着かない。
バスローブの肌触りは最高だが、下着がないのは何とも心もとない。
そして、二人も同じ状態でやって来るのだと思うと、ますます落ち着かなくなっていた。
いっそのこと、先に寝てしまおうかとも思う。
けれど、今の状況ではとてもリラックスできなかった。

そうしてごろごろしていると、やがて扉の開く音がする。
反射的に起き上がって目をやると、同じバスローブを着たシンとアスが居た。
「お待たせ、ルイ。もう眠るかい」
「え・・・あ、どう、しようかな・・・」
二人は僕の両側に座り、どう答えるかを待つ。
このまま眠ってしまうのも、それはそれで幸せな事だと思う。
けれど、それでいいのだろうかという思いが渦巻いていた。

「アスとシンは、眠い、のか」
「・・・先に言っておくけど、僕等は自分を抑制できないほど子供じゃない」
アスの言葉に、ここから先どうするのか、判断が完全に委ねられていると感じた。
たとえこのまま眠っても、抑制できるから問題ないと言ってくれている。
二人は、僕自身の答えを聞きたがっている。
もっとアルコールが残っていたら、易々と言えたかもしれない。
けれど、風呂に入ってさっぱりしたので、だいぶ抜けてしまっていた。


黙っていると、心臓の音だけが鼓動を増してゆく。
欲と羞恥が混濁していて、言葉が出てこない。
二人の視線は、両側からじっと感じられていた。
「・・・ごめん、僕、優柔不断だ・・・」
「無理をすることはないよ。電気を消そうか」
アスがベッドから下りようとするが、まだ結論が出ていないと、僕はとっさに引き留めようと腰紐を引く。
すると、やけにあっけなく紐が解け、前が完全にはだけた。

「あ、ご、ごめ・・・」
謝ろうとしたところで、言葉が止まる。
露わになっているアスの肌に、僕は瞬く間に目を奪われていた。
さっきはまじまじとは見られなかったけれど、今は凝視してしまう。
アスは少しの間留まっていたが、再び電気を消しに行こうとする。
とたんに、僕はアスの腕を掴んでいた。

「アス、僕・・・」
一時の間視線を交わらせた後、衝動的に、アスと唇を重ねていた。
それは、恐々としたとても軽いものだったけれど、紛れもなく本能が勝った瞬間だった。
身を離すと、ふいに、シンに肩を抱かれる。

「ルイ・・・いいのか?」
僕は何も言わず、シンに体重を預ける。
それだけで意図が伝わったのか、後ろから両腕がまわされた。
同時に、アスがバスローブの紐を解く。
同じ様に前がはだけ、それだけで頬に熱が上っていった。

「ああ・・・この肌に、何度触れたいと思っただろう」
アスの指先が、首筋を、肩をなぞってゆく。
妖艶な手つきに、くすぐったいという感覚よりも先行するものがあって、身震いする。
その指は胸部の辺りで止まり、掌が心臓の部分に当てられた。


「もう、早くなっているね。僕の裸を見て、反応した?」
「そ、それは・・・」
否定できなくて、言葉に詰まる。
タガを外したのは、確実にアスの姿だった。
だが、素直に言って、自分の欲が強い事を曝け出してしまうのは躊躇われる。
そんなことは今更なのだが、酔いが冷めてくると同時に羞恥がよみがえってきていた。

「お前をこうして抱くのも、久し振りだな。じっくり慣らした方がよさそうだ」
前をはだけていただけのバスローブが、シンに全て取り払われる。
そして、腰の位置をずらされ、後ろの窪みに指が添えられて。
はっとして息を飲んだ次の瞬間には、指先が埋められていた。

「っ・・・ぁ・・・」
長らく刺激を感じていなかった箇所は、指の一本だけでも反応する。
相手を押し出そうと収縮したが、シンは内部をゆっくりと解しながら、奥へ進めていった。

「あ・・・ぅ・・・っ、く、くすぐった・・・」
「ん?あ、そうか、これがあたってんのか」
シンが動くと、もこもこしたバスローブが背にあたってこそばゆい。

「折角の悦楽が紛れちゃ勿体ない。シン、僕等も脱ごうか」
「ああ、その方がお互い興奮しそうだしな」
やはりまだ酔いが残っているのか、いつにも増して二人の言葉は大胆だった。
二枚のバスローブが、ベッドに落ちる。
アスのしなやかな素肌を目の前にすると、目を向けずにはいられなくなった。
裸を見て興奮するなんて初めてだったけれど、素直に、体が反応してしまう。
心音の高鳴りが、そのまま下肢へ熱を伝わらせてゆくようだった。


「アスに見惚れてんのか?・・・まあ、確かに良い体してるよな」
シンに体を引き寄せられ、背が胸板に当たる。
固い胸筋のたくましさを感じたとたん、指が奥の方まで差し入れられていた。
「っ、あぁ・・・」
シンの指を根元まで咥えてしまったと思うと、かっと頬が熱くなる。
指があまり抵抗なく動くようになると、もう一本、差し入れられるのを感じた。
圧迫感が増えて、息が小刻みになってゆく。
けれど、体は少しずつ慣れて来ているようで、あられもない声は出なかった。

「ふふ、君は本当に良い表情をする。視覚だけでも気が昂るっていうことが、今ならわかるだろう」
アスの指先が、ゆっくりと首筋から顎裏をなぞる。
その手つきに加えて、作りが自分と同じはずの体を見るだけでも、また下肢が疼いた。
アスからは、独特のフェロモンというものが発されている気がする。
相手を捕らえて離さない、とても妖艶なものが。

「ルイ、僕に触りたいかい」
「えっ・・・」
何の脈絡もなく言ったと思ったら、手を掴まれて誘導される。
アス自身の、下肢にある物へ。

「ア、アス・・・」
指先が触れてしまい、思わず手を引こうとする。
けれど、逆に引き寄せられ、掌を添えてしまっていた。
柔らかくはない状態のものに触れて、戸惑う。
ユウヤやジェンに触れたことはあるのに、なぜかやたらと緊張する。
手を離そうとしても、手首を掴まれていてその場から動かせない。
観念して、おずおずとアスのものを包むと、手首を無理矢理、上下に誘導されていた。

「は・・・」
アスが、ふいに吐息を吐く。
感じているのか、表情が受けている感覚に酔いしれているようなものになる。
ますます妖艶な雰囲気を増した姿に、一時も視線を逸らせなくなっていた。
掌にあるものが、だんだんと熱を帯びてくる。
いつの間にか、手首は離されていたけれど、僕の手は、アスを包み込んだままでいた。
達するところを、見てみたい。
そんな衝動に背を押され、掌を動かそうとしたが、その前に、窪みの中の指が引き抜かれた。

「う・・・」
反射的に身がすぼまり、怯んでしまう。
はずみで掌も解かれ、アスから手を離していた。
「この後、嫌という程触れ合わせてあげるよ。・・・シンが先だけどね」
その言葉で、これから先の事を察知してしまう。
腰が持ち上げられ、自分の後ろに指とは明らかに違うものがあてがわれると、思わず体に力が入った。


「シ、シンは、触ってもいないのに、感じてるのか」
「まあな。お前の声を聞いて、肌に触れて、身を任せられてると思うと、それだけでも欲情する。。
・・・悪いな、もう抑えられそうにない」
怯んで逃れないよう、腰の辺りに腕が回される。
そして、あてがわれていたものが、窪みを押し広げて行った。

「あ・・・!っ、う・・・」
強い圧迫感に、眉をひそめてしまう。
シンは慎重に身を進め、中を侵してゆく。
それがわずかに進められるだけでも、とたんに息が熱くなっていった。
シンが進むにつれて、最初は痛んでいた窪みが、少しずつ他の感覚に覆われる。
また、全て咥え込んでしまうと思ったが、それは途中で動きを止めた。

「ルイ・・・僕のものも、感じさせてあげるよ」
アスが身を寄せ、目と鼻の距離まで近づく。
そして、お互いの下肢のものが触れ合っていた。
あられもない箇所にアスのものを感じて、心臓が跳ねる。
それは二つとも掌で包まれ、一緒に愛撫された。

「んっ、あ・・・あぁっ・・・」
アスの掌が動くと、感じやすいものが擦れ合う。
特別に熱を帯びていて、少し硬度のあるものどうしが触れ、気が昂った。
前が刺激されると同時に、後ろの窪みが収縮してシンを圧迫してしまう。
固い異物のせいで充分に縮めない箇所は、しきりに相手を締めつけていた。

「っ、は・・・」
耳元に、シンの吐息がかかる。
自分が反応する事でシンも感じているとわかると、共感性が生まれて。
自分達が確かに繋がっているんだと、改めて実感した。

いつまでも収縮していることはできず、窪みが一時の間緩む。
その隙を見逃さず、シンはさらに自身を押し進めた。
「あ、ぅぁ・・・っ!」
シンが奥を侵すにつれて感じるものも強くなり、上ずった声で喘いでしまう。
やがて、下腹部が触れ、全てを含んでしまったとき、もう全身が熱くて仕方がなくなっていた。
内側はシンに侵され、外にある敏感な物はアスに包まれている。
限界まで入り切ったのに気付くと、アスは指を動かし、お互いを激しく触れ合わせた。

「あっ・・・あ、ぁ・・・」
執拗に指が絡ませられ、先走ったものが流れる。
それは指の動きを滑らかにさせ、とても淫猥な感覚を与えていった。
淫らな感覚に捕らわれてしまうと、体が反応するままにシンを圧迫してしまう。
すると、固いものを鮮明に感じて、相手だけでなく自分にも悦楽が加わった。
内側の奥底までシンを感じ、繋がっている事を考えるだけでも気がおかしくなりそうになる。


「ルイ、イってもいいぜ・・・お前の中に、俺のものを感じさせてやりたい」
「ああ、ずっと眺めていたいけど、それ以上に早く君の欲を味わいたい・・・僕のと交わらせよう、ルイ・・・」
アスの動きが、一時も止まらなくなる。
指先は先端を刺激し、根元は同じもので擦られて。
起ち切っているものの全体が触れ合い、アスとも混じり合っているような感覚にとらわれた。
前も後ろも熱くて、自分の欲がもう押し留められなくなる。
静止したままだったシンが腰を動かし、奥が突き上げられ。
アスに自身を強く握られたとき、羞恥も、理性も消えていた。

「っ、あぁ、あ・・・っ!」
自分でも驚くほどの高い声と共に、体に快楽が走る。
脳髄まで浸食されるような感覚に、アスに覆われていたものが脈打ち。
先走りとは比べ物にならない量の液を吐いていた。
同時に、シンを受け入れている窪みが激しく疼き、まるで相手の精を絞り出すように、何度も縮まった。

「っ・・・ルイ・・・!」
自分の中で、シンが同じ様に脈打つ。
次の瞬間には、熱い、白濁が注ぎ込まれていた。
「う・・・」
粘液質なものを最奥に感じ、呑みきれなかった液がその場に留まる。
僕は肩で大きく息をし、熱の余韻を感じていた。




体の反応がおさまると、シンが徐々に身を引いていく。
内壁が擦れたが、中は液で濡れきっていて痛みはなかった。
完全に引き抜かれた所で、大きく息を吐いて身震いする。
白濁は完全に奥へ絡みついてしまったのか、少しも流れ落ちてはこなかった。

「気持ち悪くなかったか?俺のを注ぎこまれて」
「い、いや、そんなことない。体が熱くなって・・・嫌じゃ、なかった・・・」
正直にそう言うと、体が引き寄せられ、髪が優しく撫でられた。
労わってくれているような愛撫に、目が細まる。
けれど、心地良さを感じる一方で気恥ずかしさも感じ、思わず俯く。
そのとき、アスの下肢が目についた。
達していないのか、中心にあるものはまだ反応したままでいる。
このままでは何かと辛いだろうと思ったが、アスは気にする様子もなく手についた白濁を舐めようとした。

それを飲めば、アスの昂りはおさまってしまう。
そう気付いたとき、僕は欲を覚えたままでいるものを掴んでいた。
アスが、一瞬目を見開く。
わずかに動揺を見せたとき、僕は掴んだものを包み込み、手を上下に動かしていた。

「っ・・・は・・・」
アスが、吐息と共に小さく声を漏らす。
さっきは自分が攻められていて聞く余裕がなかったが、今は違う。
官能的な声が耳に届き、もっと聞きたいという欲が生まれる。
掴んでいるものは液で濡れていて、手が滑らかに動く。
今更羞恥心も何もなく、掌全体を使って何度も愛撫した。
そして、先の行為ですでに刺激されていたからか、アスの表情に変化が表れるのにさほど時間はかからなかった。

「あぁ・・・ルイ・・・っ!」
名前を呼ぶ声が高くなり、アスの体が震える。
その瞬間、掌に、白濁が散布されるのを感じた。
いつも冷静なアスの表情が崩れ、息を荒げている。
視覚的に興奮するのはこういうことなのだと、今まさに実感していた。


「・・・まさか、君にされるなんて思わなかったよ」
「あ、ああ・・・」
僕は、アスの液で濡れた自分の手をじっと見る。
そこで、何を思ったのか、それを口元へ寄せ、液体を軽く舐めていた。
舌先で触れると、独特な匂いと苦みがじんわりと広がってゆく。
思い切って飲み込むと、ねばついたものが喉を通り過ぎ、眉をひそめた。

「無理しない方がいい。僕が飲み干してあげるよ・・・君のと一緒にね」
アスが白濁に濡れた手を重ね、液を交わらせる。
そうして、僕の手を引き寄せ、躊躇いもなく弄っていた。
一回で、結構な量の液が拭われてアスの口内に納まる。
その喉元が動くと、再び手に舌を這わせることを繰り返していった。

「アス、お前よくそんなもん飲めるな」
「これが僕の性癖なんだよ。苦いけど、感触が好きなんだ」
自分の精を弄られているのを見ていると、まるで、自分の何もかもを捧げてしまったような気になって、落ち着かなくなる。
けれど、何かに酔いしれているように液を舐め取る、艶めかしいその姿から目が離せなかった。
「それにしても、飲み会を企画して良かった。これから、何回かやってもいいかもしれないね」
「・・・飲むだけで、終わればいいけど」
僕は苦笑しつつも、未だにシンに身を預けたままでいた。




―後書き―
読んでいただきありがとうございました!
今回のいかがわしい場面は苦戦しました・・・どちらかを優先すると、どちらかが空気になってしまうので難しい!でも萌える!←。
シンとアスはほぼしらふになってますが、私があまり酔ったことないのでうまく書けませんでした、すみません。