限りなく危ない夢と妄想2

ルイを自分達の元へ縛り付けてから、二週間。
あれから、ルイは彼女と別れたのか、元通りグループにいることが多かった。
そのとき、いつも怯えが見えているのが、シンにとって心苦しかった。

いっそのこと、全てを話して、楽にしてやりたい。
そう思っていたが、怖かった。
あんなことを無理矢理したのだ、本当のことを知れば、絶交だろう。
アスは何とかすると言っていたが、本当に何とかなるのか心配でならなかった。

そうして、焦りは募りに募った。
来週、ジェンが帰国すると連絡が入ったからだ。
ジェンが帰ってくれば、自ずと本当のことが知られてしまう。

そうすれば、もう、ルイに触れることができなくなる。
もう二度と、あの体を抱き締めることができなくなる。
そう思ったら、いてもたってもいられなくなった。
こんなこと、抜け駆けになる、ずるいことかもしれない。
けれど、呼び出さずにはいられなかった。




僕はシンに呼び出され、家に来ていた。
思えば、家に集まるときはアスのところが多く、シンの家へ入ったことはなかった。
普通なら、楽しみに思う友人宅への訪問。
けれど、僕は不安しか感じなかった。
また、三人にあんなことをされるのだろうか。

怖かったけれど、行くしかなかった。
全てをばらされてしまったら、大学生活は終わりを告げてしまう。
恐々と、家の呼び鈴を押す。
すると、待ちかねていたと言わんばかりに、すぐ扉が開いた。


「来てくれたんだな、ルイ・・・。入れよ」
僕は、不安げな表情を隠せないまま招かれる。
誰もいないのか、中は静まり返っていた。

「俺の部屋は、二階にあるんだ」
腕を引かれ、階段を上る。
扉を開けたら、残りの二人が待ちかまえているのではないかと危惧したけれど。
通された部屋には、誰もいなかった。

少しだけほっとしたのもつかの間、腕を引かれたままベッドに乗り上げる。
そうして、いつかのように後ろから抱きすくめられた。
緊張で、思わず体が強張る。

「前は・・・無理矢理、あんなことして悪かった」
意外な言葉が聞こえ、虚をつかれる。
罪悪感というものが、まだシンには残っていたのだろうか。

「謝っておきながら言うのも何だけどな・・・俺は、今からお前を抱く」
「っ・・・」
耳元で静かに言われ、今度は心臓が一瞬高鳴る。
前もってそうすると宣言され、戸惑う。
けれど、反抗の言葉は浮かんでこなくて。
僕はただ黙って、今からされるであろうことを受け入れるしかなかった。

「悪いな・・・でも、後少ししたら、もうお前に指一本触れなくなるかもしれないって思うと・・・。
いてもたってもいられなくなってた」
「え・・・?」
シンの言葉の意味がわからず、呆ける。
触れられなくなるとは、どういうことなのだろうか。
共犯者である限り、無理矢理にでも事をする方法はある。
しかし、もう少ししたら、それができなくなると言うのだ。

詳しい内容を問いただしてみたかったが、その前にシンの唇がうなじに触れ、反射的に肩が震えていた。
その反応を見て、シンは一瞬だけ身を離したが。
すぐに、再びそこへ口付け、ゆっくりと舌を這わせていた。

「ぁ・・・ぅ」
生温かいものの感触に、無意識の内に声が漏れる。
うなじをなぞるものはそのまま頬を通り、耳朶へと触れていた。

耳の輪郭を愛撫され、終いには柔らかな部分を甘く噛まれる。
また声が出そうになったが、息を荒く吐いて何とか耐えていた。
そうして堪えているのも構わず、服のボタンが外されてゆく。
その瞬間、以前のことを思い出し、体が強張った。


「・・・怖いか?」
静かな問いかけに、素直に頷く。
すると、体がぐいと後ろへ引き寄せられ、背が密着した。
シンにもたれ、身を預ける形になると、ふいに髪を撫でられていた。

「弟がさ、怖いくせにホラー映画とかよく見るんだよ。。
それで、夜眠れないって泣きついてきたとき、こうしてやると・・・いつの間にか、寝息たててんだ」
シンに弟がいたのは、初耳だった。
それなのに、そんな怖がりな弟を悲しませる様なことをしてほしくなかったと、そう、強く言ってやりたくなる。
けれど、大きな掌にそっと髪を撫でられると、恐怖が緩和し、口論する気がなくなってしまっていた。

こんな簡単なことで、ほだされてはいけないと思う。
それでも、安心したいという願望があるのは確かで。
気付けば、シンの掌の心地良さを、素直に受け入れてしまっていた。
殺人に加担していたなんて信じられないほど優しくて、暖かかい手を。

腕の中の体が弛緩したのを感じたのか、シンは下肢の服に手をかける。
少し、肩が震えたけれど、まだ頭を撫でている手に安心感を覚えてしまっていて、必死に抵抗することはしなかった。
それに、いくら抵抗したところで、僕には相手の言うことを聞く選択肢しかなかった。


大人しくしている相手の服が脱がされるのは、時間がかからなかった。
身につけているものが何もなくなり、流石に羞恥を覚える。
シンは、相手がまた緊張する前に事を進めようと思ったのか。
髪を撫でていた手を離し、下肢へと伸ばしていった。

「あ・・・っ!」
伸ばされた手は、敏感にものを感じる箇所へと触れる。
思わず声を出した瞬間には、後ろの窪みへもシンの指が触れるのを感じていた。
自分の熱を持つものが包まれ、ものを受け入れることのないはずの窪みへ指が挿し入れられる。
二箇所に感じた刺激に、声を抑えることはできなかった。

これから先の痛みを緩和させるため、シンの指は奥まで入れられる。
自分がだんだんと解されてゆくのを感じていたとき、シンの指がある一点に触れた。

「あぁ・・・っ!」
とたんに、今までよりも高い声が発される。
それに驚いたのか、シンの指は一時の間止まった。
だが、そこへ触れることで相手が強く反応することがわかったのか。
指先は、再び、ひときわものを感じ取る箇所をなぞっていた。

「ひ、や・・・っ、あっ・・・」
そこへ触れられるたびに体が震え、反応してしまう。
自分に、こんなにも感じやすい箇所があったのかと驚くほどに。

「ここ、気持ち良いのか・・・?なら、これで十分緩みそうだな」
言葉と共に、挿し入れられる指が増やされる。
けれど、感じているものが強すぎるせいで、痛みは覚えなかった。

「あ、あぁ・・・っ」
もはや、荒い息を抑えることができない。
その頃にはもう、シンの指が楽に動かされるようになっていて。
そこが弛緩したとわかったのか、中を解していた物は引き抜かれた。


「今度は、前みたいに荒くはしない。だから・・・少しだけ、我慢してくれ」
腰が、わずかに持ち上げられる。
そして、怯える暇もないまま、解された箇所にシンのものがあてがわれ。
指と同じように、それが埋められていった。

「う、あ・・・っ、あ・・・!」
いくら緩んでいても、痛みを感じないことはなくて。
自身を押し広げられる、独特の痛みに声を上げた。

「ルイ・・・っ」
相手を押し留める様に、体にまわす腕に力が込められる。
痛みを感じても、逃れられるはずはなく。
じわじわと、シンのものが自分の身を犯してゆくのを感じていた。

「っ、あ、ぁ・・・」
今度は、自分から身を沈めるのではなく、相手から挿し入れられてゆく。
痛みは緩和されつつあったが、今度はそれ以外のものにとらわれる。
シンが自身を少し進めてくるだけで体が反応し、それを圧迫するように収縮してしまう。

そうすると、自分の中にシンがいることがはっきりとわかり、かっと顔が熱くなった。
そして、それが最奥まで進められたときには、もう昂りはごまかしようのないものになっていた。


「もう、お前の体・・・指先まで熱いな」
シンが掌を合わせ、呟く。
末端まで熱を帯びているのは、そこだけではなかった。

「もう少し、こうしていたいけど・・・それだと、お前も辛いもんな」
シンが手を離し、昂っているものを包み込む。
触れられ、愛撫されると、悦を帯びた声を発してしまっていた。

「は、あ・・・っ・・・・・・シン・・・」
喘ぐ中で、はっとして口をつぐむ。
無意識の内に、相手の名前を呼んでいた。
まるで、愛撫を求める様に。

「ルイ・・・」
優しい声で、シンが囁く。
それは、名を呼ばれたことを喜んでいるかのような、柔らかな呼びかけだった。

ふいに、頬に柔らかなものが触れる。
それがシンの唇だとわかったときには、もう離れていたけれど。
そこに、相手を慈しむような愛情の片鱗を感じた気がした。
体の力が、わずかに抜ける。
そうして油断したとき、シンの手は再び動かされていった。


「っ、あぁっ・・・は、あっ・・・」
掌で包まれたかと思ったら、指先でなぞられもする。
単調ではない愛撫に、寒気とは違うが、似たような感覚が背筋を走って行った。
そのたびに窪みが収縮し、シンを鮮明に感じ取る。
負担を与えないつもりか、それは最奥で留まったまま動かされなかった。
けれど、シンが自分の中にいるのだと感じるだけでも、気分は高揚するばかりだった。

その二つの要因が重なり、昂りが限界を覚えるのに時間はかからなかった。
掌全体で、自身を包まれた瞬間。
喉の奥から高い声が発され、全身が強張った。

「シン・・・っ、あ、あぁ・・・っ!」
限界に達した熱が解放されると共に、シンを受け入れている箇所が強く収縮する。
シンを圧迫するたびに中のものを感じ、いくら羞恥を覚えても、それは止めようがなくて。
自身の体から熱を出し切るまで、落ち着くことはできなかった。

「は・・・ルイ・・・っ!」
強い圧迫感に耐えきれなくなったのか、シンが熱い息を吐く。
そして、体にまわされた腕に力が込められた瞬間。
自分の中へ、シンのものが流れ込んでくるのを感じていた。

「あ・・・ぁ・・・」
奥へ感じた熱に、力なく声を漏らす。
体からも力が抜け、僕はぐったりとシンへもたれかかった。




シンのものを感じなくなり、服を着直して一息ついた後。
僕の体は、未だにシンに後ろから抱き留められていた。
回復したら、また何かされるのだろうかと気が気でならなかったが。
髪を撫でる優しい手つきに、またほだされてしまっていた。

「・・・シンは、相手を背後から抱くのが好きなのか」
以前も同じ格好だったことを思い出し、問いかける。

「ああ。最初は、弟がそうしてくれっていうからやってたんだけどな。。
弟が眠って、体重がよりかかってくると、何だか嬉しいんだよ」
身を預けることは、安心し、相手を信頼している証のようなもの。
シンは、それを嬉しく思っているのだろう。

こうしていると、弟思いの優しい兄のようなのに、奇行に走ってしまったことが悲しくなる。
けれど、抱き留められている今、どこか安堵してしまっている自分がいるのは確かだった。




―後書き―
読んでいただきありがとうございました!。
まさか、自分でも続くと思っていなかった続編です。
ただ、欲望のままに書いたので・・・またもや自重していません。え?いつものことだろうって?。
尻切れな名感じで申し訳ありませんが、次はユウヤの話に続きます。
内容はやっぱり、自重していませんのであしからず。