告白の返事 中編


体を離すと、イタリアは再び僕をじっと見詰めた
これからすることを、本当にしてもいいのかと確認するかのように
僕は黙って、イタリアと視線を合わせた
そして、イタリアの手が僕の下腹部に延ばされた

「っ、あ」
体の最も敏感な箇所に触れられ、驚いたように肩が跳ねた
イタリアもそれに驚いたのか、一瞬手を離した
だがすぐに、敏感な箇所はイタリアの手に包まれた

「んっ・・ぁ」
そこをやんわりと撫でられただけで、僕は声を上げた
イタリアに触れられるたびに、感じたことのない感覚が体を走った
それは嫌悪するものではなかったけれど、ただ、その感覚に任せた声が発されてしまうのが恥ずかしかった


その個所への愛撫は、しばらく繰り返された
すると、その自分のものが、だんだんと熱を帯びてゆくのが感じられた

「えっ、あ、あ・・っ・・」
僕は、自分の体の変化に戸惑った
少しでも顔を上げて下腹部を見れば、自分のものが見えるだろうと思う
それはイタリアの愛撫に反応し、隆起してしまっているだろうから
そんな状態を見られているのだと思うと、僕は恥ずかしくてたまらなくなり、顔を背けた
すると、イタリアが愛撫を中断し、僕の手首を取った


「リンセイ・・・俺のも、触って・・?」
イタリアはそのまま僕の手を誘導し、自身の下腹部へ持って行った

「え、イ、イタリア・・」
ほどなくして、僕の手が何か柔らかいものに触れた
それが何なのかは、すぐにわかった
僕は一瞬手を震わせたが、さらに誘導され、手がイタリアのものに覆い被さる形になった

「ふぁ・・・」
僕の手が触れると、イタリアは力の抜けたような声を出した
そんな声を聞いた瞬間、また心音が高鳴った
動揺した僕はとっさに手を離そうとしたが、手首を掴むイタリアの手に力が込められ、阻止された

もっと、触れてほしい
まるで、そう言われているようだった
僕は戸惑いながらも、自分がされたようにイタリアのものを愛撫した

「ん・・ぁ、あ・・・」
イタリアは頬を染め、熱い息と共に声を発した
熱っぽいその声に、僕まで体が熱くなってゆくようだった
そして、手の中にあるものが同じように熱を帯び、反応してゆくのが感じられた
イタリアは、そこで僕の手首を掴んでいた手を離した
僕はこれ以上触れるのは申し訳ない気がして、ぱっと手を引っ込めた


「俺・・・今、すごくどきどきしてる・・・」
イタリアの表情は、何かに酔いしれているような感じがした

「僕も・・・同じだ」
僕の心音は、さっきから高鳴りっぱなしだった
だが、緊張感はいつの間にかどこかへ吹き飛んでしまっていた
まるで、緊張を感じている余裕があるのなら、他の物を感じたいと思っているかのようだった

「ん・・じゃあ、次は・・・」
イタリアは少し制止し、本の内容を思い出しているようだった

そして、ふいにイタリアの手が動いた
それはさっきまで触れていたもののさらに下方にある、敏感な部分ヘ移動していた
ここからは、たぶん痛みを伴う行為になると予測がついていた
だが、怖いとは思わなかった
僕はじっと、イタリアがどうするのかを待っていた

「指、入れるね・・」
その呟きと共に、僕の中へイタリアの指が入っていく感触がした

「っ・・ん、ぁ・・・」
どうしても抑制できない声が、自然と発される
奇妙とも思えるその感覚は、僕に熱を帯びさせていった


イタリアの指が、ゆっくりと奥へ進んでくる
すると、反射的に筋肉が収縮し、指を締め付けてしまう
それは、自分ではどうにもできない反応だった
奥へ進んだ指がわずかに曲げられると、僕はまた声を抑えられなくなった

「ぁ、っ・・・ぅ・・」
筋肉はさらに収縮し、体が敏感な反応を示す
中の指はその収縮と解きほぐすかのように、だんだん動き始めた
自身の中にあるものは、たまに曲げられ、前後運動が繰り返される
そのたびに感じる感覚に耐えうるべくもなく、僕は上ずった声を発した
それが繰り返されると、不思議と力が抜け、筋肉が弛緩してゆくのが感じられた


「リンセイ・・濡れてきてる」
「あ・・・っ」
ちらっと下腹部の方を見ると、隆起している自身のものから乳白色の液体が流れ落ちてきているのが見えた
僕は羞恥の余り、とっさに視線を元に戻した
そして、未だに指が入れられている自身の中が、だんだん粘液質になってきているのがわかった

「ん・・・は・・・・・っ」
ふいに指が引き抜かれ、僕はその感触に身震いし、吐息を吐いた


「じゃあ、あの・・・入れる・・ね」
イタリアは指に伝った糸を、自身の隆起しているものに塗りつけ、そして指を入れていた個所にあてがった
僕の心臓は瞬間的に跳ね、肩をぴくりと震わせた

「あ、あの、痛かったら、無理しないでね」
ここからは痛みを伴う行為だとさっき読んだのか、イタリアは心配そうに言った
そのことを懸念して緊張しているのか、言葉が強張っているように思えた

「覚悟はできてる。・・・大丈夫だ」
それは、イタリアへの返答だけではなく、まるで自分に言い聞かせているような言葉だった

そんなに痛くはないだろうと、高を括っているわけではない
ここから先の行為に不安を覚えていないというと、嘘になる
だけど、どんな痛みが襲ってこようとも、イタリアをうろたえさせてしまうような反応はしないと、決意していた
これは、僕が選んだことなのだから
そして、イタリアが腰を落とし、あてがわれていたものが進められていった

「っ!ぁ、ぅ・・・っ」
思わず、痛みに反応した声が発されてしまった
鈍い痛みが、体を走る
僕は、感じた事のない個所の痛みに耐えようと、無意識の内にシーツを強く掴んでいた
それだけで痛がっていると気付かれてしまうかもしれなかったが、せめてこれ以上声は出すまいと、必死に奥歯を噛み締めた

「リ、リンセイ」
イタリアは相手を気遣うような、控えめな声で名を呼んだ
動揺させてはいけないと、僕はなるべく苦痛の表情を見せないようにして、イタリアを見詰めた

「い、痛い?痛かったら、俺、もうやめ・・・」
イタリアがそう言いかけたところで、僕はとっさにイタリアの手首を掴んだ
触れてほしいと、イタリアが頼んだときのように

気遣うあまり、行為を中断させるようなことはしてほしくなかった
正直なところ、イタリアが入ってきている部分は、まだ痛かった
だけど僕は、イタリアに遠慮なんてしてほしくなかった
全てを委ねると、そう決めていたから

僕は、じっとイタリアを見続けた
その視線に、苦痛や恐怖が含まれていないと、イタリアは悟ったようだった

「リンセイ・・・ありがと」
行為を進めてもいいということに、イタリアはお礼を言った
その感謝の言葉が、僕の頬を少し綻ばせた
それに安心したのか、イタリアは自身を僕の中へ進めていった

「っ、ぅ・・あ・・・」
熱を帯びたものが、奥へと進んでくる
奥歯を噛み締めていたのに、どうしても口が開かれ声が発されてしまう
しかし、なぜか痛みは少しずつ軽減されていっていた
代わりに感じたものは、圧迫感と―――


「ヴェ・・・もう、入んない・・・」
中のものの動きが止まり、イタリアが僕の上に覆い被さってきた
僕は息を荒げ、全身が熱っぽくなっていた

「俺・・・今、リンセイと繋がってるんだね・・・」
熱っぽさを感じているのか、イタリアの息遣いも荒くなってきていた
今、自分がイタリアのものを完全に呑み込んでしまっているのだと思うと、羞恥のあまり顔をまともに見られなかった

「リンセイ、ハグして・・」
「ん・・・」 僕はすぐにその申し出に答え、イタリアの背に両腕をまわした
もう、触れていないところのほうが少ない
外にも内にも、彼の熱を感じる
僕は、それを幸福だと、そう感じていた


「動いて・・いい・・・?」
イタリアが、控えめに尋ねた
やはりまだ、懸念しているところがあるのかもしれない
「ああ・・・」
僕は吐息と共に、了解とも喘ぎともとれる声を発し、小さく頷いた
そしてその懸念を消そうと、イタリアを引き寄せるように、まわした腕に少し力を込めた
イタリアは軽く微笑んで、自身を動かし始めた

「は・・・っ、ん・・ぁ・・・」
最初、それはとても慎重でゆっくりとしたものだったが、それでも僕は上ずった声を発した
中にあるものが擦れ合い、呼吸が荒くなってゆく
だが、痛みはもうどこかへ消えてしまっていた
少しの間動かさずにいたのがよかったのだろうか、そのおかげで僕は圧迫感の他に、確かに感じているものがあった


「ん・・・ぬるぬる・・してきた・・・」
ふいに粘液質の感触が増し、イタリアの動きが流暢になってきた
その動きに反応しているのか、隆起しているものからは、そんな粘液質な液体が流れ落ちていた

「あ、ぁ・・・は、あ・・・っ」
イタリアが自身を動かすたびに、淫猥な液体の音が耳に届いてくる
その音を発している個所は、内部のものが動くたびに弛緩と収縮を繰り返し、イタリアにも熱を与えていった
内から感じるものに、これでもかというほど心音が早まり、強くなってゆく
体にはじんわりと汗が滲み、感じている感覚のせいで目が完全には開眼できなくなる
まるで、視界を閉じ、その感覚だけを味わいたいと、体が欲しているかのようだった

「ふぁ・・っ、リンセイ、俺・・・もう・・・」
イタリアが、動きつつ熱っぽい声を発した
僕も同じく、自身に限界が近付いてきているのを感じていた

「は・・・ぁ、イタリア・・・っ」
僕は、イタリアを求めるように腕に力を込めた
もう、どこかにすがっていないと、おかしくなってしまいそうだった
イタリアは、それに答えるかのように強く、最奥まで自身を埋めた
それは僕に強い感覚を与え、そして、もう、耐えられなかった

「あぁっ・・!は、あ、ぁ・・・ん・・・っ、あ――!」
荒く、上ずった声と共に、全身が瞬間的に震えた
僕の体は中にあるものにいっそう反応を示し、一気に収縮した
ああ、これが悦楽に呑まれることなのだと、感じた瞬間だった

腕には強く力が込められ、イタリアを引き寄せていた
そして、僕の隆起していたものが震え脈打ち、乳白色の液体を散布させた
それは、すぐ近くにあったイタリアの腹部を濡らした

「リン・・セイ、あ、ふ・・・あぁっ!」
イタリアも上ずった声を発し、体を震わせた
それに驚いたのか、イタリアは強く僕に抱きついてきた
そして、一気に収縮した締め付けに耐えきれなかったのか、内部にあるものが脈打った

「ぅ・・・」
僕は、自分の中にさらに粘液質なものが注がれるのを感じ、わずかに呻いた
さっきまで込められていた力が抜け、僕はイタリアから腕を外した
そして内部にあったものが引き抜かれると、僕は大きく息を吐いた
自身を引き抜いたイタリアは、ぐったりとした様子で隣に倒れ込んだ

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